中国の中専卒はどんな学歴か?職高、中専、技工など分類もある
中国には中専卒とよばれる学歴があるが、これは一体どのような種類の学歴なのだろうか?中国で中学校に相当する初級中学を卒業して次の学校に進学するひとのうち、約45%が中専とよばれる学校に進学している。
1.中国の教育システム
そもそも中国の進学の流れは?
中国の教育制度は、9年間の義務教育を基本としている。通常は小学校6年、中学校(初級中学、初中)3年。日本の中学校にあたる初級中学を卒業すると、就職する人と進学する人にわかれる。つぎの教育段階に進学する人のうち、日本の普通高校にあたる普通高級中学(高中)に進学するのは進学者全体の56%ほどである。
そのほかの進学する人の約44%は中専とよばれる学校に進学している。中国で採用活動などを行っている人は、中専卒という学歴の履歴書を見ることも少なくないだろう。中専卒という学歴は一体どのようなものか?ちなみに、文部科学省のデータによると、日本の高校で普通科に通う生徒の割合は全体の72%である。
2.中専卒という学歴
中専にもいろいろ分類がある
中専卒という学歴に属する学校は、職業高級中学(職高)、中等専業学校(中専)、技工学校(技校)と大きく3つに分かれている(上海の中専の一覧)。この3つの学校の生徒は、三校生ともよばれる。
これらの学校を卒業すると、中専卒とよばれる学歴になる。中専卒という学歴は、高級中学の卒業学歴と同等レベルと言われている。中専の学歴を取得すると、大学に進学する資格を得ることができる。中専は基本的には卒業後は働くことを前提にしていて、就職に必要な能力を育成するカリキュラムが組まれている。
教育部の統計データによると、2013年末時点で中専に属する学校は、全国に1.2万校あり、1,923万人が在籍している。普通高校にあたる普通高級中学(高中)は全国に1.3万校あり、2,436万人が在籍している。中国の高校教育に相当する生徒の約44%は、中専の卒業資格となる学校に進学している。
中国の中専は日本の学校でいうと?
中専に属する学校は、日本の産業高校や工業高校と呼ばれている専門高等学校、大学入試資格を卒業すると取得できる専門学校(高等専修学校)をイメージすると分かりやすい。日本の5年制である高等専門学校(高専)も中国の中専に含まれる学校である。
3.中専、それぞれの学校の特長
職業高級中学(職高)
職業高級中学(職高)は、教育部(文部科学省に相当)が主管している。職業技術学校とも呼ばれる。就学期間は高中と同じ3年間が多い。5年制のコースをもっている学校もある。
職高は普通の高中で学ぶ基礎学習に加えて、技術的な内容も学習する。機械、電気、旅行、英語、商業、会計などの専攻がある。教育部の統計データによると、2013年末時点で全国に4,267校ある。
中等専業学校(中専)
中等専業学校(中専)は、職高と同じく教育部が主管している。中等専業学校には、普通中等専業学校と成人中等専業学校の2種類がある。普通中等専業学校は、主に9年間の義務教育を終えた生徒を対象。成人中等専業学校は、中学校を卒業した在職中のひとを対象としている。
中専の卒業証書は、省(自治区、直轄市)の教育庁が発行し、全国で認められている。中専の教育カリキュラムは卒業後に就職することを目的としており、商業、コンピューター関係、CAD、会計などを学習する。就学期間は、学校や専攻によって違いはあるが、3年制が多い。職高と中専は学習内容にあまり違いがない。
教育部の統計データによると、2013年末時点で中等専業学校は全国に5,113校ある。普通中等専業学校は3,577校、成人中等専業学校は1,536校ある。
技工学校(技校)
技工学校(技校)は、教育部ではなく人力資源和社会保障部(日本の厚生労働省に相当)が主管している。労働人事部(現在の人力資源和社会保障部)の規定によると、技工学校は実習工場や店舗を設置しなければならない。学校の規模(学生数)と教師数の割合など、人力資源和社会保障部によって決められている。
技工学校で学ぶ内容は、機械関係、電気関係、コンピューター関係、交通関係(運転、自動車修理など)、調理師、美容師など技術的な内容になっている。就学期間は1年から5年と学校や専攻によって異なる。教育部の統計データによると、2013年末時点で技工学校は全国に2,882校ある。
(了)