中国の高中学業水平考試というテストを聞いたことがあるだろうか？中国の高校生が合格しなければならない学力測定テスト。この試験はどういったテストで、中国の大学入試との関連性はどうなっているのだろうか？
１．中国の高中の卒業に必須の高中学業水平考試
高中学業水平考試とは何か？
中国には高中学業水平考試というテストがあるが、一体どのような試験なのだろうか？正式名称は普通高中学業水平考試と呼ばれ、以前は「会考（フイカオ）」と呼ばれるテストでだった。
高中学業水平考試は、中国の高校生である普通高級中学生（高中生）が卒業までに必ず合格しなければならない学力測定テスト。中国の国家教育委員会（現在の教育部）の1990年８月の通知によると、高中学業水平考試に合格することにより高中の卒業証書を取得することができると明記されている。中国の普通高校を卒業するためには必須のテストとなっている。
- 国家教育委員会とは？
- 国家教育委員会とは、1985年から1998年まで設置されていた教育関係を主管する中央省庁である。1985年以前と1998年以後は教育部と命名されている。現在も教育部として存在する。日本の文部科学省に相当する。
高中学業水平考試、いつから導入された？
高中学業水平考試はいつ頃から中国に導入されたのだろうか？高中学業水平考試は1983年から試験的に一部の地域で実施され、1990年から全国的に導入されている。2006年の入学生までは会考と呼ばれる試験が実施され、2007年の入学生から高中学業水平考試を適用したと言われているものの、実質的なテストの位置づけや評価方法に違いはない。
この卒業に必要なテストが導入された目的は、中国の大学入試である高考（正式には普通高等学校招生全国統一考試）にあまりにかたよった普通高中の教育内容を是正するために導入されたという経緯。
中国の普通高中では、高考に採用されている一部の科目だけに力を入れて教育する傾向が指摘されていた。あまりに進学率や卒業生の進学する大学ランクを重視しすぎる普通高中の教育内容を是正するために導入されたとも言われている。
２．高中学業水平考試のテスト内容は？
テストの科目は？
高中学業水平考試のテスト科目はどうなっているのだろうか？浙江省で行われているテスト科目は、国語、数学、思想政治、歴史、英語、情報技術などの11科目。体育の実技テストも含まれる。一般的に試験は年２回行われており、浙江省では学期末の１月と６月に行っている。
浙江省では、高中学業水平考試のテスト結果を、A（優秀）、B（良好）、C（合格）、E（不合格）の４段階で評価している（不合格はDではなくE）。具体的な点数は公表されない。A（優秀）は全体の20%前後、B（良好）は30%前後、C（合格）は50%から55%、E（不合格）は５%前後となっている。
テスト結果は地域により異なり、上海市ではA、B、C、D、F（Eはない）の５段階で評価している。
高中学業水平考試のテスト結果は何に使われるのか？
高中学業水平考試のテスト結果は、高中の卒業要件になっている他は、どのように使われるのだろうか？浙江省の規定によると、このテスト結果は中国人の人事ファイルと言われる人事档案（レンシ・ダンアン）に記入され、大学などへの進学、中国人民解放軍への入隊、就職時に参考にされると言われている。
高中生（高校生）が他の学校に転校する場合、このテスト結果により、どのレベルの学校に編入できるか影響する。
上海市では一部の高級職業学校（高職）と呼ばれる学校では、入学試験のかわりに使われている。高職は大学専科（大専）に相当する学校。
３．高中学業水平考試と大学入試の合格
大学入試の合格に本当に影響するのか？
高中学業水平考試は中国の大学入試の合格に影響するのだろうか？現在のところ、大きな影響はないと言われている。中国の高中生（高校生）や保護者は高中学業水平考試と大学入試の合格に関連性があるか高い関心を持っている。インターネット上では大きく話題にあがっている。
中国の教育部は、大学入試である高考だけで大学の合否を判断するのではなく、総合的に学力などを判断するために高中学業水平考試と大学入試を関連することを目指している。これからの大学受験の合否にどのような影響が出るか引き続き注目されている。
- 高考とは？
- 高考は毎年６月に行われている中国の大学入試。正式名称は普通高等学校招生全国統一考試という。受験科目は国語、数学、外国語、総合科目（または選択科目）の４科目が多い。地域によって配点や科目に違いがある。
（了）