世界各国の大都市にはチャイナタウン（中華街）が形成されていますが、中国のなかには日本人街や韓国人街の外国人タウンも自然と形成されています。広州市（広東省）では、白雲区の遠景路にある韓国人街はとても有名です。
１．広州市内の韓国人街
白雲区にある遠景路
広州市白雲区には韓国人街として有名な場所があります。広州の国際空港である白雲国際空港と広州駅（長距離列車の起点駅）のあいだに位置する遠景路とよばれる通りです。この通りの周辺には数十店舗の韓国料理屋が立ちならび、韓国人向けの輸入食品などの小売店も少なくありません。
（写真１）韓国人街として有名な遠景路、公共バスでのアクセスが便利
一時は２万人規模の韓国人が滞在した広州市
本当かどうか真偽ははっきりしませんが、インターネット上の報道によると金融危機が起こるまえの2006年ごろには、おおよそ２万人規模の韓国人が広州市に滞在していたと言われています。2008年の金融危機で多くの韓国人は帰国し、現在では約3千人の韓国人が広州市内に滞在していると言われています。
そもそも、この韓国人街は自然に韓国人が集まり、白雲区の遠景路の周辺にレストランなどが広がっていったと言われています。そこに地元の政府機関が目をつけて、意図的に韓国人街を形成するために、韓国料理屋や輸入品店などの進出をサポートしたと言われています。
（写真２）量販式KTV（普通のカラオケ店）にも韓国語（ハングル文字）の表記
２．あふれるほどの韓国料理屋
朝鮮族が経営する店も少なくない
この韓国人街には数十店舗の韓国料理屋があります。韓国人が起業して韓国料理屋を経営しているケースも少なからずあるものの、中国の東北地域から出てきた中国人の朝鮮族が経営している韓国料理屋も多いと言われています。
中国にある日本料理屋と同じように、基本的には中国人によって韓国料理屋が経営されているのでしょう。中国の日本料理屋は、一部の本格的な高級店だけ日系資本や日本人の個人オーナーによって営業されています。ほとんどの日本料理屋は中国人によって運営されています。
（写真２）遠景路にある韓国焼肉屋、看板はハングルでも表記されている
競争の激しい韓国料理屋
この遠景路にあるレストランは、ほとんどすべて韓国料理屋と言っても過言ではありません。見渡すかぎり韓国料理屋が並んでいる場所もあります。だいたい料理の価格帯は同じで、石焼きビビンパは35元（約700円）前後。広州市内の中華料理屋に比べると、ずいぶん高い値段設定になっていますが、夜になるとお客さんであふれている店も少なくありません。
（写真３）他店との違いが見られない韓国料理屋、それでも夜はお客であふれる
料理には小鉢モノもついてくる
この焼き肉セット（ご飯つき）は28元（約560円）。韓国料理屋では無料の小鉢も一緒についてきます。最近は日本円安の影響もあり、中国で食べる昼食も日本円に換算すると決して安くありません。１元＝20円で計算すると、一食25元で500円になります。
（写真４）韓国料理屋で食べた焼肉セット、小鉢はおかわり自由
３．輸入品販売店も
韓国料理屋だけではない韓国人街
この韓国人街は韓国料理屋だけではありません。韓国の輸入品をあつかった小売店も出店されています。
（写真５）韓国食品店、韓国人にとっては重要な食品入手経路
韓国第一街と言われる商店街
この遠景路は地元政府も積極的に韓国人街の形成に尽力してきたと言われています。韓国第一街とよばれる商店街も、地元政府のサポートした結果のひとつかもしれません。韓国人が広州市で生活することを考えると、同じ国民がたくさん住んでいて、韓国料理屋も多い遠景路周辺の住宅賃貸を自然と検討するのでしょう。
（写真６）韓国第一街とよばれる商店街、韓国関係のショップが多い
広州に住む多くの日本人駐在員は、珠江新城（広州市天河区）とよばれる高級住宅街に住んでいます。韓国人街ほど日本料理屋が集まっているわけではありませんが、日本人向けのレストランやマッサージ屋なども展開されています。広州日本人学校への子どもの通学方法を考えると、日本人が集まっているところに住むのが便利なのでしょう。（了）
