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中国で売春や買春でつかまったときの「収容教育」とは?

中国で外国人が売春や買春で公安機関につかまると本国に強制送還されるのはよく知られているだろう。中国人はどうなるのだろうか?じつは中国の法律にもとづき「収容教育」とよばれる矯正がおこなわれている。具体的な内容はどうか?

1.地域によって運用が異なる収容教育

中国で売春や買春で捕まったら収容される?

中国で中国人が売春や買春で公安機関につかまったら収容されることがあることを知っているだろうか?1993年に国務院によって施行された「売淫嫖娼人員収容教育弁法」は2011年に修正され、収容教育は売春や買春をおこなった者に対して、集中的に法律教育や道徳教育という矯正を行っている。

収容者は生産労働に参加し、性病の検査や治療を行う。行政の強制措置であり、期間は6ヶ月から2年間。現在、国家の関係部門は「売淫嫖娼人員収容教育弁法」の存続または廃止、修正について検討を進めているようだ。

ちなみに、外国人が売春や買春でつかまったら行政拘留されたあと、本国に強制送還されるのが一般的だ。

収容しない地域もある

各地の収容教育制度は運用が統一されていない。江西省と安徽省の2地域は、長年収容を行っていない。全国的に徐々に収容されないようになってきている。

この制度の運用状況は、各地域で大きな違いがでている。北京や天津はかなり厳しい。北京では売春や買春をおこなった者を一律6ヶ月の収容を行っている。しかし、全国の多くの地域では、数年前から積極的に収容しないところも出てきている。江西省は2006年3月から売春や買春をおこなった者を収容していない。

安徽省の公安庁によると、もともと設置していた17の収容教育所を2005年、「収容条件を備えていない」という理由で閉鎖している。安徽省のどの収容教育所も再稼働しておらず、2005年から収容はおこなっていない。

西藏自治区の公安庁によると、これまで収容教育所を設置したことがないという。広東省の広州市では、すでに収容教育制度の縮小をおこなっている。2013年には新たな収容者は発生していない。

江蘇省南京市の公安分局によると、売春や買春した者に対して治安交流と罰金で処罰しているという。山東省済南市の公安分局は、すでに収容教育をおこなっていないという。

収容期間は地域で異なる?

「売淫嫖娼人員収容教育弁法」では、収容教育期間は6ヶ月から2年と定められている。その収容期間は各地域に違いが出ている。北京は一律すべて6ヶ月間。浙江省、黒竜江省は、通常6ヶ月から1年。河北省は基本的に6ヶ月であるが、収容者の状況により最長2年を超えない範囲まで延長される。天津は内容が軽い者は6ヶ月、共謀など内容が重い者は8ヶ月、常習犯は10ヶ月と状況により収容期間に違いがある。

江西省の公安庁によると、江西省の公安機関は売春した者の収容教育所をこれまで設置してこなかった。理由は2006年3月1日から施行されている「治安管理処罰法」の処罰方法に収容教育が明記されていない。そのため、江西省すべての公安機関は2006年3月から売春や売春した者の収容教育をしなくなった。

上海市のある知り合いに聞いたところ「上海市では1回目では収容されず、2回目以降は収容される」という。

2.売春した女性だけ収容される?

女性だけが収容されている?

南方都市報によると、山東省済南市などの一部の都市では、買春を行った男性は収容せず、売春を行った女性だけを収容の対象としている。

これまで全国で行われてきた収容教育を見ると、売春をおこなった女性に対して収容教育をおこなっている。買春をおこなった男性に対しては実施されていない。福建省は収容教育をおこなう次の5つの条件を設定している。

  1. 売春やわいせつ行為をおこなった
  2. 犯罪の条件を満たしていない
  3. 労働教養の条件を満たしていない
  4. 治安管理処罰であり、懲罰教育ではない
  5. 女性

福建省だけでなく、江蘇省の一部の都市、山東省済南市など、女性のみを収容している。済南市の公安局によると、売春をおこなった女性が初犯でなければ、通常6ヶ月間の収容教育をおこなうという。買春をおこなった男性に対する収容教育所はないという。

やはり地域で運用がことなる

一方で、北京、天津、浙江省などは厳しく運用している。女性だけでなく、買春した男性に対しても収容教育をおこなっている。(了)

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