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中国の日系ネット通販「品店」、2015年6月末で閉店に!

中国国内で住友商事グループが展開してきた品店(ピンストア)が2015年6月末で閉店になる。信頼できる日系の大手商社が運営主体で、さらに日本語版の通販サイトも構築されていただけに中国で生活する日本人にとっては悲しいお知らせだ。

1.上海拠点のネット通販サイト「品店」閉店!

住友商事グループ「品店」、2015年6月末で終了!

中国の上海を拠点に展開していた品店(ピンストア)が2015年6月30日に閉店するとメールが入ってきた。この品店(ピンストア)は2012年4月から住友商事の子会社が展開している中国国内向けのネット通販サイト。中国語版だけでなく日本語版の通販サイトもあり、中国に長期滞在する日本人にとって重宝されていただけに閉店は残念。結局、約3年間で撤退することとなった。

(写真1)品店(ピンストア)の公式サイトに掲載されている「閉店のお知らせ」

(写真1)品店(ピンストア)の公式サイトに掲載されている「閉店のお知らせ」

閉店までは25%~75%オフの大セール!

今回の閉店にともない、品店(ピンストア)は在庫を整理するための閉店セールをおこなっている。割引率は25%~75%。合計100元(約2,000円)以上を購入すると、その合計額からさらに10%オフとなる大盤振る舞いだ。ざっとセール商品を見てみると、他のネット通販や小売店で販売されている価格よりもかなり安いものも少なくない。とくに日本からの輸入商品は割安だ。

ピンストア(品店)とは?
ピンストア(品店)とは、住友商事グループが運営しているネット通販の爽快ドラッグの中国国内版。日本語版も運営している。中国に住む中国人や日本人向けに日用品や食料品を販売している。自社サイトだけでなく、ネット通販サイトの京東商城(JD.com)にも出店している。

2.そもそも品店(ピンストア)の商品は減ってきていた

少しずつ定番商品が減っていた・・・

よくよく考えて見ると、ここ半年ほど日本人の間で人気商品のカゴメの野菜生活やサントリーのビールなどが在庫切れのままになっていた。品店(ピンストア)としては、半年ほど前から中国国内からの撤退を検討していたのかもしれない。

(写真2)中国で生活する日本人に人気のカゴメの野菜生活ジュース

(写真2)中国で生活する日本人に人気のカゴメの野菜生活ジュース

3.日系のネット通販企業は戦略変更か?

天猫(Tmall)から京東商城(JD.com)への出店移動の意図は?

品店(ピンストア)は中国から完全撤退するのだろうか?品店(ピンストア)は中国で自社サイトで販売しているほかに、もともとは阿里巴巴(アリババ)グループの天猫(Tmall)にも出店していた。ここ半年くらいの間に天猫(Tmall)から撤退し、ネット通販大手の京東商城(JD.com)のネットショッピングモールに移動している。

今回の閉店とあわせて考えると、品店(ピンストア)に何が起こったのだろうか?ちなみに、京東商城(JD.com)に出店している品店(ピンストア)のサイトでは閉店は告知されていない。むしろ、「NEW OPEN新店開業」と掲載されたままだ。

(写真3)「NEW SHOP」と掲載されたままの品店サイト(京東商城サイト内)

(写真3)「NEW SHOP」と掲載されたままの品店サイト(京東商城サイト内)

中国のネット通販サイトは苦戦している!?

2015年5月8日付の日本経済新聞(電子版)によると、京東商城(JD.com)を運営している京東集団の2015年1月~3月期の決算は約140億円の大幅な赤字。売上高は62%も増加しているのに、最終損益が大きくマイナスとなる厳しい状況だ。ここからも中国国内での激しいネット通販業界の競争状況が見えてくる。最近、上海や広州の街なかを歩いていても、ネット通販企業の広告ばかりが目に入ってくる。

(写真4)家電・デジタル製品のネット通販に強い京東商城(JD.com)

(写真4)家電・デジタル製品のネット通販に強い京東商城(JD.com)

京東商城(JD.com)とは?
京東商城は中国最大手の自社販売型のネット通販サイトを展開している。2013年の売上高は693億元(約1兆1,400億円)。創業者の劉強東(リュウ・チャンドン)が1998年に設立。2014年5月にベンチャー向け株式市場である米ナスダックに上場。

品店の親会社である爽快ドラッグは天猫国際に参入!?

住友商事の子会社である爽快ドラッグは、直輸入専用ネットショッピングモールの天猫国際(tmall.hk)に参入すると公表している。2017年3月期には売上高20億円を目指すと打ち出している。この爽快ドラッグの中国法人こそが、これまで中国で品店(ピンストア)を運営してきた親会社だ。そして、天猫国際は阿里巴巴(アリババ)グループが運営している直輸入通販サイト。

爽快ドラッグとしては競争の激しい中国国内のネット通販事業から撤退して、中国国内の直輸入販売に切り替えていく戦略だろうか?この領域には伊藤忠商事も参入すると公表している。(了)

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