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中国の教育貸付制度(国家助学貸付)はどうなっているのか?

日本では日本学生支援機構(JASSO)が奨学金貸与を行っているが、中国でも教育貸与制度が整備されている。中国人に奨学金というと貸与ではなく、無償給付の制度という認識がある。中国では返済が必要なものは助学金と言ったほうがいい。

1.上限額が改定された中国の国家助学貸付

経済発展にあわせた金額調整

これまで中国の教育貸付制度(奨学金貸与)である国家助学貸付の上限金額は、年間6,000元(約9.9万円)を上限額として運用されてきた。2014年7月1日より、全日制本科または専科(大専)の学生に対しては上限額を年間8,000元(約13.2万円)に、全日制の研究生(大学院生)に対しては年間12,000元(約19.8万円)に改定された。

この国家助学貸付は、あくまでも貸付金であって奨学金給付ではない。基本的に卒業後に返済しなければならない。

中国の本科と大専
中国の大学本科と大学専科(大専)とは、大学本科は4年制、大学専科(大専)は基本的に3年制のコースになっている。大きな違いは、大学本科は学位と卒業証書を取得できるが、大学専科は卒業証書にのみで学位は取得できない。日本人のあいだでは大学専科のことを短期大学(短大)と呼んだりしている。

これまで中国の国家助学貸付(奨学金貸与)の対象者は、各大学の在校生の最大20%と決められている。この地域にかかわらず在校生に対して20%という規定により、経済的に困窮している人が多い中西部の学生への援助が手薄いと言われてきた。

2.はじめての大規模の制度改定

12年ぶりの改定

財政部、教育部、中国人民銀行、銀監会は「国家助学貸付に関する政策措置を調整することに関する通知」を発表。2014年7月1日から国家助学貸付の金額と地域別の対象者の割合比率を調整することを決定した。

この調整は国家助学貸付の政策がはじまって以来、12年間ではじめて大規模に行われた制度改定である。ここ数年、一部の地域で大学生の学費や生活費用の負担が増加しており、これまでの年間6,000元の上限額では学生が必要とする金額に対応できなくなっていた。

具体的な変更点

今回の国家助学貸付の上限額にもとづき、全日制本科または専科(大専)は年間8,000元を上限額と変更される。年間の学費と寮費の合計額が8,000元を下回る場合、国家助学貸付の金額は実際に負担する学費と寮費(宿舎費用)の合計額とする。

2002年に施行された国家助学貸付の政策では、大学に通う経済的に苦しい学生が国家助学貸付を得ることができる人数は在学生総数の20%という決められている。地域間や学校間による差異を反映できずにいた。

地域別の経済発展の違いを反映させるため、東部地域は在学生総数の13%~17%、中部地域は21%~22%、西武地域は27%~29%が国家助学貸付を得ることができるように調整された。(了)

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