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マーケットを活用してきた中国移動(チャイナモバイル)

中国の3大通信キャリアで最大規模をもつ中国移動グループは、じつは1997年に設立されたまだ新しい企業。中国移動グループが現在の規模になるまでには、マーケットの資金を使いながら、再編をくり返してきた複雑な歴史がある。

1.じつは中国電信から分離した中国移動という企業

1997年9月3日

中国電信(香港)有限公司(中国移動グループのもとになる会社)が香港に設立される。もともと、中国移動は中国電信から分離されてできた企業であることは知られていない。

中国電信(香港)有限公司という名称で設立されるものの、そのあとに中国移動(香港)有限公司に名称変更する。さらに中国移動有限公司と名称変更する。

1997年10月23日

中国電信(香港)有限公司は、新規株式を発行して42億ドル(約4,200億円)を集める。設立してから2ヶ月足らずでニューヨークと香港の証券取引所に上場する。中国でよく見られる企業本部は上場せずに、子会社の上場によりマーケットから資金を調達している。

1998年6月4日

中国電信(香港)有限公司は、江蘇移動という会社の所有権を買収する。中国本土にある運営会社を再編していくスタートになっている。

1999年11月2日

中国電信(香港)有限公司は、あらたに20億ドル(約2,000億円)の株式発行をおこない、6億ドル(約600億円)の社債(償還期限:2004年)を発行してマーケットから資金を調達する。

1999年11月12日

中国電信(香港)有限公司は、福建移動、河南移動、海南移動の所有権を買収する。

2000年6月28日

中国電信(香港)有限公司は、中国移動(香港)有限公司に名称を変更する。ここで中国移動という企業名が生まれる。

2000年10月4日

中国移動(香港)有限公司とVodafone Group Plc.(英国)は戦略パートナーシップ協定を締結する。Vodafone Group Plc.は中国移動(香港)有限公司から25億ドル(約2,500億円)の新規株式を購入する。いわゆる第三者割当増資をおこなう。中国の情報通信改革として海外の技術・ノウハウ導入にVodafoneは関わっている。

2000年11月3日

中国移動(香港)有限公司は、約69億ドル(約6,900億円)の新株と6.9億ドル(約690億円)の転換社債(株式転換可能な社債、償還期限:2005年)を発行する。

中国移動(香港)有限公司は複数の銀行によるシンジケートローンによって、125億元(約2,000億円)の融資により資金調達する。

2000年11月13日

中国移動(香港)有限公司は、北京移動、上海移動、天津移動、河北移動、遼寧移動、山東移動、広西移動の所有権を買収する。

2.中国本土31省すべての通信会社を買収!

2001年6月18日

中国移動(香港)有限公司は、完全子会社である広東移動通信有限責任公司を通して、中国本土で50億元(約830億円)の社債を発行して資金調達する。この社債は上海証券取引所で売りだされる。

2002年7月1日

中国移動(香港)有限公司は、安徽移動、江西移動、重慶移動、四川移動、湖北移動、湖南移動、陝西移動、山西移動の所有権を買収する。

2002年10月28日

中国移動(香港)有限公司は、完全子会社である広東移動通信有限責任公司を通じて、中国本土であらたに80億元(約1,320億円)の社債を発行する。

2003年1月22日

中国移動(香港)有限公司は、完全子会社を通じて、中国本土で80億元(約1,320億円)の社債を発行する。上海証券取引所でこの社債を売りだす。

2004年7月1日

中国移動(香港)有限公司は、内モンゴル移動、吉林移動、黒竜江移動、貴州移動、雲南移動、西藏移動、甘粛移動、青海移動、寧夏移動、中国移動通信有限公司、京移通信設計院有限公司の所有権を買収する。

これらの買収により、中国移動(香港)有限公司は中国本土すべての31省(自治区、直轄市)で通信事業を展開することになった。

2005年11月10日

中国移動(香港)有限公司は、完全子会社であるFit Best Limitedを通して、華潤万衆電話有限公司(以下、補足)の発行済の全株式を、現金による株式公開買い付けで買いとる。

華潤万衆電話有限公司とは?
華潤万衆電話有限公司は、香港を拠点に複合的な事業をおこなう華潤集団の子会社。2004年4月に香港証券取引所に上場し、香港でモバイル通信事業をおこなっている。

3.アライアンス(提携)しながら事業拡大

2006年3月28日

中国移動(香港)有限公司は、華潤万衆電話有限公司(以下、華潤万衆)の完全子会社化を完了させる。華潤万衆は、中国移動万衆電話有限公司に名称を変更する。

2006年5月29日

中国移動(香港)有限公司は、中国移動有限公司に名称を変更する。

2006年6月8日

中国移動有限公司、News Corporation(米国)、星空メディア(STAR Group Limited、香港)の3社は、戦略パートナーシップ契約を締結する。ワイヤレス・マルチメディアの領域で長期戦略パートナーシップ関係をむすぶ。

2009年4月29日

中国移動有限公司と台湾遠伝電信股份有限公司(以下、台湾遠伝)は、(台湾遠伝の)株式引受協定を結ぶ。中国移動有限公司は、完全子会社を通して、台湾遠伝の発行済株式12%を引きうける。

2010年3月10日

(中国移動有限公司の)完全子会社である広東移動と上海浦東発展銀行股份有限公司(以下、浦発銀行)は、浦発銀行の第三者割当増資を締結する。広東移動は、395億元(約6,500億円)で浦発銀行の20%の新規株式を引きうける。

11月25日、中国移動有限公司と浦発銀行は「戦略パートナーシップ協定」を締結し、モバイル金融と電子商取引(EC)の領域で提携を正式に開始する。

3.第四世代モバイル通信(4G)スタート

2012年8月23日

中国移動有限公司はモバイル・インターネットの設置を加速するため、完全子会社である中国移動通信公司は安徽科大訊飛信息科技股份有限公司(以下、科大訊飛)と第三者割当増資を締結する。中国移動通信公司は、科大訊飛の15%の株式を取得する。

科大訊飛とは?
科大訊飛は音声技術のソフトウエア会社。2008年深セン証券取引所に上場している。本社は安徽省合肥市。

2013年12月4日

(中国移動有限公司の親会社である)中国移動通信集団公司は、4Gの事業認可(TD-LTE)を取得し、4Gのサービスを開始する。

中国の4Gの事業認可
中国の工業和信息部(工信部)は2013年12月4日、中国移動、中国電信、中国聯通の3社に第4世代モバイル通信(TD-LTD)の事業認可を与える。

2013年12月18日

中国移動有限公司は、新しいロゴである「and和」を発表する。

中国移動のロゴ
新しいロゴである「and和」は、andは「つながる」「伝える」という意味であり、a new dreamの頭文字(and)でもある。

(了)

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