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中国の大手通信キャリアの中国移動、複雑な資本関係!

中国の通信業界を主管している工業和信息化部の統計資料によると、2014年5月時点の中国国内の携帯電話の契約回線数は12.5億回線にのぼる。その携帯電話サービスを提供している最大手の中国移動グループとは一体どんな企業だろうか。

1.中国移動(チャイナモバイル)とは?

とにかく巨大な中国移動

中国には大手移動通信キャリアは3社ある。中国移動(チャイナ・モバイル)、中国電信(チャイナ・テレコム)、中国聯通(チャイナ・ユニコム)の3社。その3社のうち、中国移動グループは契約者数7億8700万人(2014年5月31日時点)で、世界最大規模の移動通信キャリアだ。

中国移動グループの中核企業である中国移動通信集団公司(本社:北京)は、2011年7月から奚国華(シー・グオフア)が董事長に就任している。奚国華は5年に1度開催されている中国共産党第16回全国代表大会(2002年11月開催)の中央委員会の候補委員にも選ばれている。

中国共産党の中央委員会とは?
中国共産党全国代表大会のなかに中央委員会というものがある。2012年11月に開催された第18回大会では、中央委員会委員は205名。任期は5年。中央委員会委員に欠員が出ると、171名の順位づけされた候補委員から補充される仕組み。

2.中国移動の資本関係、わかりにくい

中国移動通信集団公司(本社:北京)

中国移動通信集団公司(以下、集団公司)は2000年4月20日に設立され、北京に本部を置いている。資本金は3,000億元(約5兆円)で、顧客規模で世界最大の移動通信キャリアである。中国移動グループの従業員数は19万7,030人(2013年3月31日)。集団公司は中国移動グループの持株会社(ホールディングカンパニー)の位置づけであるものの、非上場の企業である。董事長は奚国華。

この集団公司は国有企業に該当し、日本の内閣に相当する国務院(中央政府)の国有資産監督管理委員会(国資委)が主管している。同社は中央政府が管理していることから、国有企業の「中央企業」と呼ばれている。地方政府にある国有資産監督管理委員会が監督している企業は「地方企業」と呼ばれている。

中国移動有限公司(本社:香港)

中国移動有限公司(以下、移動公司)は1997年9月3日に香港で設立。1997年10月22日にニューヨーク証券取引所に上場し、1997年10月23日に香港証券取引所に上場した。移動公司の董事長は持株会社のトップでもある奚国華。登録資本金は30億HKD(約400億円)。財務報告書によると、2013年度の売上高は6,302億人民元(約10.3兆円)。

中国移動グループ資本関係は、公式ホームページの組織図を見てわかる通り、かなり複雑である。香港に拠点がある移動公司は、中国移動通信公司(以下、通信会社、公式ホームページはない)という子会社を持っている。

この通信会社の子会社が、中国本土で実質的な通信事業の運営をおこなっている。この移動公司の主要株主は、2013年5月31日時点で74.08%の株式を保有している中国移動香港(BVI)有限公司である。

中国移動(香港)集団公司と中国移動香港(BVI)有限公司

ニューヨーク証券取引所と香港証券取引所に上場している中国移動有限公司(本社:香港)の74%もの株式を保有しているのは、中国移動香港(BVI)有限公司(以下、BVI会社)という中国移動グループの企業。企業名からイギリス領ヴァージン諸島(British Virgin Islands)に登記されている会社と思われる。

さらに、BVI会社の100%株式を保有しているのは中国移動(香港)集団公司(以下、香港集団)である。その香港集団の100%株式を保有しているのは、北京に本社がある集団公司となっている。かなり複雑な資本関係を築いている。

イギリス領ヴァージン諸島の登記メリットは?
イギリス領ヴァージン諸島(British Virgin Islands)に会社登記するメリットは、一般的に次のとおり。(1)会計監査、税務申告が義務づけられていない(2)登記の機密性が高い(3)BVI以外での取引には税金がかからない(4)香港の銀行に口座開設できる。

(了)

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