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再編を繰り返してきた中国聯通(チャイナ・ユニコム)

中国の通信業界のなかで少し存在感が薄いのは中国聯通(チャイナ・ユニコム)。中国移動や歴史のある中国電信が目立つなかで、中国聯通はじつは中国の通信業界の大きな再編で重要な役割を担ってきた。どのような経緯だったのだろう?

1.中国聯通の設立から株式市場への上場

1994年

1994年7月19日、中国聯合通訊有限公司(以下、中国聯通)は、国務院の承認を得て設立される。これまで中国電信(チャイナ・テレコム)1社によって独占されていた中国の通信業界に、競争原理を働かせるために政策的に中国聯通は設立されたという経緯がある。

中国のモバイル通信の代表格は中国移動(チャイナモバイル)であるが、じつは中国電信や中国聯通のほうが歴史は古い。日本のNTT(日本電信電話)を中心とした通信業界の再編のように、中国では中国電信がその立場にたって再編されている。

1995年

1995年7月19日、中国聯通は第二世代移動通信技術(2G)であるGSM通信のサービスを開始する。

2000年

2000年2月8日、中国聯合網絡通信(香港)股份有限公司(以下、中国聯通香港)が香港に設立される。

2000年6月21日、中国聯通香港はニューヨーク証券取引所に上場する。2000年6月22日、香港証券取引所にも上場する。この2市場の上場により約56億ドル(約5,600億円)の資金を調達する。

2002年

2002年1月8日、中国聯通は第三世代移動通信技術(3G)であるCDMA2000のサービスを開始する。

2002年10月9日、中国聯通グループの事業運営会社である中国聯合通信股份公司(A株会社)は上海証券取引所に上場する。この上場により115億元(約1,900億円)を調達する。

2002年12月31日、中国聯通香港は、吉林省などの9地域(省、直轄市、自治区)の移動通信事業を買収する。

2.中国聯通と中国網通の合併

2003年

2003年12月31日、中国聯通香港は、山西省などの9地域(省、自治区)の移動通信事業を買収する。中国聯通香港は、親会社である中国聯合通信有限公司(以下、聯通集団)にポケットベル事業(無線呼び出し事業)を運営している国信尋呼の全株式を売却する。

中国のポケットベル事業
中国のポケットベル事業は1984年頃からスタート。2000年にポケットベルのピークを迎えてから、徐々に縮小して2005年頃になくなる。

2004年

2004年7月20日、上海証券取引所に上場しているA株会社は45億元(約740億円)の新規株式を発行する。

2006年

2006年7月5日、中国聯通香港は韓国のSKグループに対して、10億ドル(約1,000億円)の株式転換社債を発行する。中国聯通香港とSKグループは、戦略パートナーシップ協定を提携する。

韓国のSKグループとは?
SKグループは、石油精製や通信事業を柱とする韓国の財閥である。SKテレコムとして、韓国で携帯事業を行っている。SKテレコムの前身は国営会社であった韓国移動通信。

2007年

2007年12月31日、中国聯通香港は、親会社である聯通集団の貴州分公司と第二世代移動通信技術のGSM事業を買収する。

2008年

2008年10月1日、中国聯通香港は、中国電信(チャイナ・テレコム)にCDMA事業を売却する。これにより中国のモバイル事業にあらたに中国電信が参入することになる。

2008年10月15日、中国聯通香港(红筹株、Red Chip)と中国網通(红筹株、Red Chip)の合併が成立し、会社名を「中国聯合網絡通信(香港)股份有限公司」に変更する。

Red Chip(レッドチップ)とは?
香港証券取引所に上場する企業の中で、実質的に30%以上の株式を中国本土の政府機関や企業が所有している企業を红筹株(Red Chip、レッドチップ)と呼ぶ。

2008年12月16日、中国聯通香港(旧)と中国網通が合併した新しい中国聯通香港は、親会社である聯通集団と網絡集団から中核事業と資産を買収する。同時に聯通集団に、南部21省の通信ネットワークをレンタルする。

3.第三世代通信(3G)から第四世代通信(4G)へ

2009年

2009年1月7日、子会社が2008年10月に合併しても残っていた持株会社(ホールディングカンパニー)である中国聯合通信有限公司と中国網絡通信集団公司は、国務院の許可を得て合併する。合併後の新会社である中国聯合網絡通信有限公司(以下、新中国聯通)は、国務院(内閣に相当)の国有資産監督管理委員会(国資委)が主管する。

2009年1月7日、中国聯通香港の完全子会社である中国聯合網絡通信有限公司は、全国で運営できるWCDMA(第三世代移動通信技術)の認可を得る。

2009年9月6日、中国聯通香港とスペイン電信は、株式の持ち合いを発表し、戦略パートナーシップ協定を締結する。

2010年

2010年10月18日、中国聯通香港は、約18億ドル(約1,800億円)の株式転換社債を発行する。

2011年

2011年1月23日、中国聯通香港とスペイン電信は、戦略パートナーシップ協定を強化することを締結し、さらなる株式の持ち合いを決定する。

2012年

2012年6月10日、中国聯合網絡通信集団有限公司は、海外にある完全子会社を通じて、スペイン電信が保有している中国聯通香港の10.7億株を買い取ることで合意する。

2013年

2013年12月4日、持株会社である中国聯合網絡通信集団有限公司は、中国の通信業界を主管している工業和信息化部(工信部)からTD-LTE(第4世代移動通信、4G)の営業許可を得る。(了)

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