中国人が教師になるために必要な教師資格試験とは?
中国人が教師になるとき、どのような条件を満たす必要があるのだろうか?日本の教職課程や教員資格認定試験などのような試験は存在するのだろうか?中国では教育改革を進めていて、教える側の教師にもその改革の影響が及んでいる。
1.中国人が教師になるには?
中国の教師資格考試
中国ではどのようにして教師になることができるのだろうか?そもそも中国には日本の教員資格認定試験の合格や教職課程の修了による教員免許に相当するものは存在するのだろうか?
中国の教師について調べていくと、中国で教師になるには教師資格考試とよばれる試験に合格する必要がある。この試験は年2回実施されている。中国の教師資格考試は一旦合格するとずっと有効だったものが、教育改革として2015年からは有効期間が3年間に変更になる見込みだ。
さらに、これまでは教師資格考試に合格すると、いつでも教師になることができていたが、2015年からは資格合格したあと3年以内に教師にならないと合格が無効になってしまう。
もう1つ大きな改革は、日本の教職課程の履修生に相当する師範コース専攻(教育専攻)の学生も教師資格考試の受験対象になったこと。これまでは師範コース専攻の学生は試験が免除されていたものの、2012年の入学生から受験が義務づけられた。
日本の場合は?
日本で教師になるためには教育職員免許状(教員免許)が必要だ。日本で教員免許を取得するには3つの方法がある。ひとつは教職課程の終了、もうひとつは教員資格認定試験の合格、そして教育職員検定の合格。いずれの方法で取得した教員免許も全国でみとめられている。
日本の教員免許は2009年3月までは一生涯つかえる免許だった。しかし、法改正により2009年4月からは教員免許の更新制に変更となった。これにより教師は10年間に1度、教員免許の更新講習をうけることになっている。
この教員免許を取得したうえで、公立学校の教師になるには各自治体の教育委員会がおこなう教員採用試験に合格しなければならない。私立学校は各学校が独自で採用試験をおこなっている。
2.新しい教師資格考試
新しい教師資格証
今回の教育改革により、中国の教師資格証は5年に一度、教育部(文部科学省に相当)に学校での評価や研修記録などを登記しなければならない。この資格証は中国全土で認められる。日本とおなじように高級中学の教師資格を取得すると、それよりも下の教育段階である初級中学や小学校でも教師をすることは可能。
これまでの教師資格考試は地方ごとに実施されていたが、今回の教育改革により国家統一試験となる。すでに試験的モデル地域として河北省、上海市、浙江省、海南省などで11の地域で先行して実施されている。2015年から全国で実施される見込み。
教師資格考試の受験資格は?
この教師資格考試の受験資格はどうなっているのだろうか?この受験資格は幼稚園、小学校、初級中学(中学校)、高級中学(高等学校)、中等職業学校で異なっている。
幼稚園と小学校の受験資格は、日本の短大に相当する大学専科(大専)以上の学歴が必要。初級中学、高級中学、中等職業学校では、日本の4年制大学に相当する大学本科以上の学歴が必須となっている。
大学に在籍している3年生(3回生)以上の大学生(大専含む)も教師資格考試を受験することができる。
試験方法は?
教師資格考試の試験方法は、筆記試験と面接試験の2つに分かれている。この面接試験には、一般的な質疑応答形式の面接試験だけでなく模擬授業もふくまれている。
筆記試験は試験参加者が受験する教育段階(小学校、初級中学など)により受験科目はことなる。これまで実施されてきた教師資格考試よりも難しくなるといわれている。
3.これまで実施されてきた教師資格考試
師範コース専攻
今回の教育改革により2012年以降に入学した師範コース専攻の学生も教師資格考試に合格しなければならなくなった。これまで師範コースの学生は大学で受講する教育学と教育心理学の単位取得に加えて、中国語の標準語である普通語考試2級乙(下級)以上に合格していれば、卒業時に教師資格を取得できる。
- 普通語考試とは?
- 普通語水平測試(普通語レベルテスト)ともよばれる。この試験は普通語の単語や文法の理解と使い方を判定する口頭テスト。一級から三級、それぞれに甲(上級)と乙(下級)に分かれた全6ランクのテスト。
語文(国語に相当)の教師は、普通語考試2級甲(上級)以上の合格が求められている。
非師範コース専攻
これまでの教師資格考試は、全国で統一された試験ではなかった。各地域で試験内容はことなっているものの、教師資格自体は全国で認められている。
非師範コースの受験生は、教育学、教育心理学、教育測定テストの筆記試験と面接試験の合格が求められている。普通語考試2級乙(下級)以上の合格も必要。(了)