中国で困る、「外国人」の宿泊手続きができないホテル
中国で外国人である日本人がホテルの宿泊手続きができないケースがある。現地の公安系統(システム)が外国人の手続きに対応していないケースもあるが、多くのケースではホテル従業員が外国人の宿泊手続きを把握していないことが原因だ。
1.外国人は宿泊できない?
地方都市で見られる「外国人」の宿泊不可
中国の地方都市でときどき遭遇する事態として、外国人である日本人がホテルに宿泊できないという状況。日中関係が悪化していて日本人だから宿泊を断られているというわけではない。1999年ごろまでは外国人が宿泊可能なホテル(渉外賓館または渉外飯店)の資格認定が行われていたと言われているが、現在は表向きは実施されていない(地方政府の公安当局が独自に指導している可能性はある)。
宿泊できない理由は大きく2つある。ひとつは、ホテルのスタッフが外国人の宿泊登録手続きを理解していないために発生する。もうひとつは、地方都市の公安当局の旅館業治安管理信息系統(システム)が外国人対応になっていないからだ。
中国では旅館業治安管理弁法(1987年施行)の第6条により、中国人でも外国人でも身分証明証による宿泊登記を法的に求めている。さらに、外国人が宿泊する場合は24時間以内に公安機関に登録情報を報告しないといけないと決められている。
この旅館業治安管理弁法をもとに、各地方政府はそれぞれ具体的な実施細則を規定している。上海市の場合は上海市旅館業治安管理実施細則で、具体的にホテルがすべきことを明記している。
外国人にホテルの対応が追いついていない
中国の地方都市であっても観光地の場合は、外国人の宿泊を断られることはほとんどないだろう。外国人観光客が多く、ホテル側が実務的なルールを従業員に周知しているし、公安当局もしっかりと旅館業治安管理信息系統(システム)の対応をしているからだ。
いっぽう、中国の観光地ではない地方都市では、とくに中級以下のホテルで外国人の宿泊が断られることは少なくない。MOTEL168(莫泰168)という全国的なチェーンホテルであっても、上海市松江区では宿泊することができなかった。
- 中国の「168」
- 中国でよく見る「168」という数字。この「168」の中国語読みは「一路発(yi lu fa)」と似ていると言われている。この中国語の音は「一路発財(お金持ちになる)」として縁起が良いと言われている。
2.上海市の松江区で泊まれたホテル
城市便捷酒店(CCINN)というおススメのホテル
上海市の松江区では3つのホテルで宿泊を断られた結果、なんとか城市便捷酒店(CCINN)というチェーン展開しているホテルを発見。上海市松江区の日本料理屋街がある普照路にある日本人にとって便利なホテル。1泊200元(約4,000円)で宿泊することができる。
- 上海市の松江区とは?
- 上海市の松江区とは、上海市のなかにある16区1県のうちの1つ。2013年末の総人口は173万人、そのうちの戸籍人口は59万人。半分以上の住民は外地から移ってきたか、一時的に松江区に滞在している人。上海市中心(静安寺)から松江新城まで地下鉄9号線で約1時間かかる。
このホテルは清潔でおススメ。これまで宿泊した200元以下のホテルのなかで、もっとも設備とサービスが高い。ホテル探しに苦労した結果、サービスの良い格安ホテルチェーンを発見することができた。
- 城市便捷酒店(CCINN)とは?
- 城市便捷酒店(CCINN)は、東呈酒店集団(2006年設立)というホテルグループが全国で展開しているフランチャイズ方式の格安ホテル。宿泊料金は150元~220元(約3,000円~4,400円)。広州、深セン中心に全国展開を進めている。
中国の地方都市には外国人対応ができていないホテルがあるため、とくに片言の中国語や英語を使った場合は、即座にホテルの従業員から宿泊を断られることもあるかもしれない。これは日本人を拒否しているのではなく、外国人に対応した宿泊登録の方法を知らない、あるいはマニュアルがないだけなので誤解がないように。(了)