中国の診察料、標準費用はあるのか?病院によって異なる費用!
1.わかりにくい中国の医療費
病気・けが、中国人は医療費をケチらない!
中国の医療費の仕組みはわかりにくい。中国では少し大きめの市立・公立病院なら、どこも通院患者であふれている。日本のような小さなクリニックや診療所(開業医)が少ないため、どんな病気・けがでも大病院を訪れるからだ。中国人はできるだけ評判の良い医師にみてもらおうと、人気の大病院に向かう傾向がある。
ただ、中国の市立・公立病院では診察費は同一価格ではない。いったい、どのような診察料(問診費、診療費)の体系なのか?
2.中国人も理解してない医療費の仕組み
普通問診・専家問診、異なる診療費!
まず、中国語で診察費(診察料)は挂号費(gua hao fei)と呼ばれる。問診費と呼ばれることもある。通常、大病院に入ると、普通問診、専家問診などに分かれた診察費(挂号費)が掲示されている。
日本と異なり、医師のランクによって普通問診、専家問診(副主任、主任級の医師による診察)と分かれている。普通問診、専家問診により費用は異なる。この診察費は薬代、検査費用を含まない、医師の問診のための費用。中国では診察費と薬代、検査費用、治療費などは完全に分かれている。
問診費(挂号費)は物価局が決めている!
普通問診、専家問診の問診費は物価局(政府機関)が決定している。病院が勝手に決めることはできない。その物価局の決定価格には病院ランクによっても問診費は異なる。最高ランクである三級の病院は少し高めに設定されている。
しかしながら、中国の大都市にある人気病院の問診費は、かならずしも物価局の決める問診費と一致しているわけではない。とくに、高級専家と呼ばれる人気医師は例外的に診察料(問診費)を病院が自主的に決定してもよいことになっているからだ。中国では評判の高い医師を求めて患者が殺到するケースが多いため、病院の処理能力を考えて診察料を高く設定して患者数をコントロールしようとしている(江蘇省の通達)。
- 中国の病院ランク
- 中国は「医院分級管理弁法」(1983年施行)により各病院の等級(ランク)を決めている。一級(低い)から三級(高い)まであり、その級別のなかに甲乙丙の3ランクが設定されている。三級にはさらに「特等」というランクがある。中国のすべての病院はこれら10ランクに所属している。
問診費無料の病院も!
中国の病院は市立・公立だけではない。民営の病院も存在する。この民営の病院は完全な営利目的で、顧客である患者獲得目的に診察料を無料(タダ)で行っているところも少なくない。このような民営病院は診察料が無料である一方、薬代、治療費、検査費などで稼ぐ仕組みだ。
ある民営病院を訪れたとき、診療費が無料であるだけでなく、「いまなら薬代と検査費が30%オフ」と割引までしていた。日本人が訪れる日本人向けクリニックも民営病院に属する。
日本では診療後に医療費を精算する。いっぽう、中国では診察前に問診費(診察料)を支払い、その診断結果により薬代、治療費、検査費などを支払う仕組み。薬、治療、検査も支払い後に行われる。中国では問診費が低く設定されているものの(高級専家を除く)、高騰する人件費などをカバーするため、薬、治療、検査の費用は高めに設定されている。(了)