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蘇州市内で吉野家発見!すき家の台頭で悩ましいポジション

上海、蘇州に多くの日本人が集まっているため、中国に滞在する日本人にとっては吉野家よりも、上海・蘇州に多く出店している、すき家のほうが身近に感じるかもしれない。蘇州市内でようやく、吉野家を発見。ひさしぶりの中国での吉野家。

1.江蘇省のすき家と吉野家

地域戦略が異なる、すき家と吉野家!

2005年1月に上海(中国)に進出した、すき家(SUKIYA)。すき家は現在、北京、天津、蘇州、無錫、南京、上海、杭州、杭州などで130店舗ほど出店している。ただ、多くの店舗は上海に集まっており、その他の地区はこれから進出・拡大していくのだろう。いっぽう、吉野家(中国)のホームページによると、2013年末で304店舗も展開している。すき家を大きく上回る出店状況だ。

すき家と吉野家、数字的にみると店舗数では圧倒的な違いがあるものの、上海や蘇州などでは、すき家の存在感のほうが大きい。むしろ、この地区では吉野家を見つけることに苦労するほどだ。蘇州市にある江蘇省、上海をまわってみると、本当に吉野家のほうが中国地域の店舗数が多いのか疑問に思ってしまうほどだ(吉野家は北京と遼寧省に8割以上の店舗を出店している)。

(写真1)蘇州市の石路歩行街で見つけた吉野家

(写真1)蘇州市の石路歩行街で見つけた吉野家

2.日本とは異なる店舗デザイン

マクドナルド、KFCのような吉野家の店舗設計!

中国にある吉野家は日本とはまったく店舗デザイン(設計)が異なる。まるでマクドナルドやKFCと錯覚するような店舗設計だ。正面にカウンターがあり、そこで注文をして商品を受け取るという仕組み。吉野家は1992年に中国に進出しており、その長年の経験により現在のような店舗設計になったのだろう。ただ、日本人からすると違和感を感じてしまう。

(写真2)日本の吉野家の面影はまったくない(蘇州市)

(写真2)日本の吉野家の面影はまったくない(蘇州市)

高級感のある吉野家のセット!

上海、蘇州に滞在している人なら、普段は、すき家に通っているはずだ。すき家に訪れる感覚で吉野家に行くと、出てくる商品に驚くはずだ。すき家よりも高級感というか、洗練された雰囲気が商品から出ているからだ。お箸にキッチンペーパーまで巻かれている。

2年ほど前に広州(広東省)の吉野家を利用していたが、その時よりも吉野家の飲食店としてのグレードがあがった気がする。ターゲットとしている顧客は明確に中間所得層のちょっと上の層を対象としている価格帯・雰囲気だ。

(写真3)中国で中級レストランで出て来るような牛丼(蘇州市)

(写真3)中国で中級レストランで出て来るような牛丼(蘇州市)

中国ではレベルの高いクオリティ!

中国の吉野家は牛丼だけではない。和食セットのような照り焼きチキンのセットを頼むと、小鉢のようなモノまでついている。それに、味噌汁、プリン、茶わん蒸しまでついている。ご飯の上にごま塩が少し振りかけられているのもポイント。小さな気遣いに日本人なら満足するはずだ。

(写真4)吉野家の豪華照り焼きチキン定食(蘇州市)

(写真4)吉野家の豪華照り焼きチキン定食(蘇州市)

3.すき家と吉野家の価格

まったく価格帯が異なる両社!

とても魅力的に見える蘇州の吉野家。ただ、お客さんは予想外に少ない。価格をみると、すき家の1.5倍~1.8倍くらいの値段。たとえ、良い商品を提供していても、競争力を保てるかどうかは別の話。中国人にとってのコストパフォーマンスが高いかどうか。吉野家は決して高すぎるわけではないが、牛丼セットと照り焼きチキン定食の2つで74元(約1,200円)。すき家では大体40元ほどだ。

(写真5)ほかの飲食店よりも高めの値段設定(蘇州市・吉野家)

(写真5)ほかの飲食店よりも高めの値段設定(蘇州市・吉野家)

中国の吉野家の商品はけっして悪くないが、価格的にむずかしいポジション。2人で食べて74元。サイゼリヤであれば50元、すき家40元、カレーのココ壱番屋なら75元。中国のフードコートで食事すれば35元~40元ほど。

すき家ならどこに出店しても顧客が集まる価格帯であるものの、吉野家の場合は中所得層の多い立地をしっかり選ばないと難しいか。ただ、中国の出店コスト(賃料ふくむ)は高騰しており、お客さんが入っても利益がでるか難しい状況だ。ショッピングモールによっては売上高に対して数パーセントのコミッションを徴収しているところも存在する。(了)

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