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中国最大規模の卸売市場、義烏(イーウー)とは?

中国の浙江省にある義烏(イーウー)って知ってますか?中国最大規模、もしかすると世界最大規模の雑貨の卸売市場がある街。義烏(イーウー)はどのようにして中国最大規模の卸売市場になったのだろうか?そもそもどんな街なんだろう?

1.義烏(イーウー)とは?

なぜイーウーというのか?

日本で売られている100円ショップの商品の多くは、この義烏(イーウー)の卸売市場でも販売されていると言われている。この義鳥(イーウー)は、中国語で義(Yi、イー)、烏(Wu、ウー)と読むため、日本人のバイヤーのあいだでもイーウーとよばれている。

この義烏の「烏」は「からす、う」であり、「とり、ちょう」ではないので注意が必要。じっくり見てみないと「鳥」と「烏」の違いがわかりにくい。義鳥(イーチョウ)と間違って記載してもわからないかも?

義烏(イーウー)って、どんな都市?

中国に買付けにくる外国人バイヤーのあいだでは、中国の卸売市場といえば広東省の広州市か浙江省にある義烏(イーウー)といわれているほど有名なところ。義烏(イーウー)は、上海市のとなりにある浙江省の金華市(地級市)にある県級市。

(写真1)浙江省義烏市の列車の駅の様子

(写真1)浙江省義烏市の列車の駅の様子

義烏は1988年までは義烏県(けん)とよばれていたが、現在は県級市となっており義烏市という。義烏市は、金華市のなかにある小さな市という位置づけであるが、国家級の改革モデル地区に指定されている特別な街。そのため、義烏市政府は上位の行政区画である金華市から独立した財政管理をおこなう権限をもっている。

中国の地級市や県級市の関係は?
中国の行政区画は、一級行政区(省、自治区、直轄市)、二級行政区(地級市など)、三級行政区(県級市、市轄区など)に分かれている。一級行政区の下部に二級行政区があり、その下に三級行政区が設置されている。

義烏市の戸籍人口は75万人(2012年末)で、そのうち約10万人は少数民族。この75万人の戸籍人口のほかに、他の都市から移住してきたり、一時的に義烏市に滞在している人たちが約140万人いると言われている。

2.義烏(イーウー)の卸売市場

義烏国際商貿城

義烏(イーウー)の卸売市場というと、稠州北路にある義烏国際商貿城が中心となる。中国で雑貨の仕入れといえば、義烏(イーウー)の国際商貿城といわれる。福田路の近くにあるため福田市場とも言われている。2002年に義烏国際商貿城の一区がスタートして、現在は一区から五区まである。

アクセサリー、雨具、日用雑貨、玩具(おもちゃ)、化粧品など日用品や雑貨は何でも売られている。

雑貨とは?
雑貨とは、こまごまとした生活に必要なモノを指している。日用品ともいう。雑貨(日用品)には食料品や衣料品はふくまない。雑貨(日用品)には、トイレットペーパーなどの衛生用品、洗剤、台所用品、風呂用品、殺虫剤、化粧品などがある。
(写真2)立派な義烏国際商貿城、たくさんの店舗はこの建物のなかに入っている

(写真2)立派な義烏国際商貿城、たくさんの店舗はこの建物のなかに入っている

義烏篁園服装市場

2011年に設立された衣料品(アパレル)を中心にした卸売市場。江濱中路に位置する8階建てビルに入っている卸売市場。今回は残念ながら見にいけなかった。

3.世界最大規模の卸売市場の義烏(イーウー)

中国で30年以上まえに設置された卸売市場

義烏(イーウー)には、なぜ世界的にも巨大な卸売市場があるのだろうか?中国には日用品などをあつかった小商品卸売市場(中国語:小商品批发市场)とよばれる卸売問屋があつまった市場がある。義烏(イーウー)は、もともと1960年代、70年代から少しずつ卸売市場が出来てきて、1982年に小商品卸売市場が正式に設立された。

なぜ義烏(イーウー)の小商品卸売市場は大きく発展したのだろうか?やはり、他の街にある小商品卸売市場よりもずいぶん早く設立されたことが大きい。山東省臨沂市にある小商品卸売市場は1987年の設立。広東省広州市にある広州白馬服装市場は1993年に設立されており、義烏(イーウー)よりも設立は遅い。

義烏(イーウー)の卸売市場は、1986年には他の省の都市に販路ができており、浙江省以外からも多くの商人が買付けにやってきている。1990年頃にはすでに中国最大規模の小商品卸売市場になったと言われている。

改革開放政策が大きな転換点

義烏(イーウー)の卸売市場は、中国の改革開放のスタートである1978年12月の中国共産党第11回中央委員会第三回全体会議(三中全会)から最もはやく設立された卸売市場のひとつ。

この改革開放政策により、中国は計画経済から市場経済にかわって、モノをつくって自分で販売することが奨励されるようになった。そのため、中国の製造業が拡大をはじめることで、この卸売市場もどんどん大きくなった。

2001年12月に中国が世界貿易機関(WTO)に加盟して、世界の工場として中国全体の輸出拡大の波にのったことも大きく影響している。現在の義烏の卸売市場で売られている製品の65%は輸出販売されている。(了)

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