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中国の携帯やスマホの国内ローミング(国内漫遊)とは?

中国の携帯電話やスマートフォン(スマホ)を契約地域以外で利用すると国内ローミング料金が発生する。これは本当なのだろうか?日本では聞いたことのない中国の国内ローミングの仕組みはどうなっているのだろうか?

1.中国には国内ローミングがある

海外ローミングとは違うの?

中国で携帯電話を利用していると、国内ローミング(中文:国内漫遊)という言葉を耳にすることがある。日本の携帯電話やスマートフォン(スマホ)を海外で使用するときに海外ローミングという言葉はよく耳にするものの、中国の国内ローミングとは一体どのようなものだろうか?

海外ローミングとは?
海外ローミングとは、携帯電話やインターネットサービスにおいて、事業者間の提携により、海外の提携先のサービスエリアを利用することを指す。

そもそもローミング(roaming)の元々の意味は、「ぶらつく」「ぶらぶらする」という意味のroam(ローム)という動詞の進行形。モバイル通信業界では、契約している事業者のサービスエリア外において、事業提携などにより利用者がサービスエリア外で利用できることをローミングサービスとよんでいる。

なぜ中国国内でローミングが発生するのか?

中国の通信キャリアは、各地域に独立した会社を設けて通信サービスを提供している。国内3大モバイル通信キャリアの各社は、それぞれ中国国内の31省(自治区、直轄市)に子会社をもっている。

その通信キャリアの子会社や支店は業績の競争をしており、自社グループの内部取引に費用が発生し、ユーザーから国内ローミング料金を徴収していると言われている。携帯電話を契約した市外局番の地域からはなれて携帯電話を使用する場合、携帯電話の接続は国内ローミングになる。

上海(市外局番:021)で契約したユーザーが北京(市外局番:010)に行った場合、ユーザーは北京のサービスエリアに入っており、上海で契約している携帯電話は国内ローミングの状態になっている。この国内ローミングの状態で携帯電話の発信や受信をおこなうと、国内ローミング料金が発生する。

上海のユーザーは、北京滞在中の国内ローミングの状態で北京市内に電話すると国内ローミング料金は発生する。同ユーザーが北京市内から契約地域である上海市内に電話しても、国内ローミング料金は発生する。

そもそも日本はどうなっているのか?

日本の携帯電話の通話料金は、どこから通話しても、どこに電話しても1分間あたりの通話料金は変わらない。東京で契約した電話を大阪で利用しても通話料金は変わらないし、日本国内の遠距離の都市に電話しても通話料金は変わらない。

固定電話は携帯電話と異なり、県内や県外という区分があり、さらに距離により1分間あたりの通話料金に違いが発生する(NTT「国内通話料金」より)。

2.通話料金はどうなるのか?

各通信キャリアに違いは?

中国3大通信キャリアの国内ローミング料金は次のとおり(いづれも2014年7月4日時点の確認)。通信キャリアの国内ローミング料金は各社ともに同額となっている。通話料金ではなくデータ通信量(中国語では流量)について、各社は国内ローミング料金を徴収していない。

中国移動(チャイナ・モバイル)

中国移動の国内ローミング料金は、基本的に発信が0.6元/分(約10円)で受信は0.4元/分(約7円)。国内ローミング状態で電話する場合、基本的には次の通話料金が発生する。

  • 国内ローミング料金(0.6元/分)+通話料金

ただし、一部の基本プランは国内ローミング料金を無料にしている。主にビジネスパーソンを対象にしている全球通(GoTone)とよばれる基本プランは、国内ローミング料金を無料としている。

中国電信(チャイナ・テレコム)

中国電信の国内ローミング料金は、基本的に発信が0.6元/分(約10円)で受信は0.4元/分(約7円)だ。

中国電信の利用プランの天翼楽享3Gという基本プランは、国内ローミング料金を無料としている。その他の基本プランも国内ローミング料金を無料にしているものもある。

中国聯通(チャイナ・ユニコム)

中国聯通の国内ローミング料金は、基本的に発信が0.6元/分(約10円)で受信は0.4元/分(約7円)だ(「中国聯通の標準料金」より)。

中国聯通の基本プランの3Gセット(A計画、B計画、C計画)は、国内ローミング料金を無料にしている。その他の基本プランでも国内ローミング料金を無料にしているものもある。

3.中国の国内ローミングはなくなる方向か?

広東省内は国内ローミングが発生しない

広東省の中国移動は、すべての基本プラン(全球通、動感地帯、神州行)で広東省内の国内ローミング(以下、補足)を取り消している。今後の方向性としては、携帯通話の長距離電話料金と国内ローミング料金はなくなる方向に進んでいくかもしれない。

省内ローミングという呼び名
広東省内など同じ省や自治区内で発生する国内ローミングは、省内ローミング(省内漫遊)と呼ばれることもある。基本的には市外局番が異なると、国内ローミング料金が発生する。

北京市、天津市、河北省で新しい動き

2014年7月3日付の中国新聞網(電子版)によると、北京、天津、河北の消費者協会は、政府機関(国家発展和改革委員会、工業和信息化部)と3大モバイル通信キャリア(中国移動、中国電信、中国聯通)に、この3地域内での長距離通話料金と国内ローミングの取り消しを申し入れたと報じている。

(写真1)巨大な河北省は直轄市(省に相当)の北京市と天津市を囲むように隣接している

(写真1)巨大な河北省は直轄市(省に相当)の北京市と天津市を囲むように隣接している

(了)

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