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中国の通信業界の再編のために設立された会社、中国聯通

日本人のあいだでは中国移動(チャイナ・モバイル)は有名であるが、中国聯通という通信会社はあまり知られていない。最近では第三世代通信(3G)のデータ通信速度がもっとも速く、なかなかサービスがよい中国聯通とはどんな企業なのか?

1.中国聯通(チャイナ・ユニコム)とは?

通信業界は再編がおおい

中国聯通(チャイナ・ユニコム)は、中国で携帯事業などの通信事業者を運営している事業者である。現在の中国聯通は、90年代に設立された中国聯通(1994年設立)と中国電信(チャイナ・テレコム)の再編にともない設立された網通(1999年設立)をベースとしている。

中国電信の再編
中国電信の固定電話ネットワークを北部と南部にわけて、北部の事業を通信会社の網通と吉通に引き継いだ。網通と吉通は合併し、新しい網通として北部の固定電話事業を運営した。

中国聯通は通信業界を1社で独占している中国電信に対して、政府の主管部門である郵電部がイギリスの通信業界を参考にして、競争原理を持ちこむために設立されたという経緯がある。

2.中国聯通の上場子会社

中国聯通グループには、上場子会社が2社ある。上海に上場している中国聯合網絡通信股份有限公司、香港とニューヨークに上場している中国聯合網絡通信(香港)股份有限公司。

中国聯合網絡通信股份有限公司(本社:上海)

中国聯合網絡通信股份有限公司(以下、A株会社)は、2001年12月31日に設立される。2002年10月9日、上海証券取引所に上場して、115億元(約1,900億円)を調達する。

A株会社の親会社は、国務院の国有資産監督管理委員会(国資委)が管轄している中国聯合網絡通信集団有限公司(以下、集団会社)である。集団会社は2014年1月31日時点、A株会社の63.1%の持ち分を所有している。

主要株主 持ち分比率
中国聯合網絡通信集団有限公司 63.1%
その他 36.9%
合計 100.0%

(出所)A株会社の公式ホームページ、2014年1月31日時点の持ち分比率

A株会社の公表している2013年株主総会の資料によると、A株会社の財務データの連結決算の範囲には、A株会社のほかに、香港とニューヨークに上場している関係会社である中国聯合網絡通信(香港)股份有限公司もふくまれている。

2013年度の売上高は3,037億元(約5兆110億円)、純利益103億元(約1,700億円)。

中国聯合網絡通信(香港)股份有限公司(本社:香港)

中国聯合網絡通信(香港)股份有限公司(以下、H株会社)は、2000年2月8日に香港で設立される。2000年6月21日に香港証券取引所に上場し、2000年6月22日にニューヨーク証券取引所に上場。

H株会社の財務報告によると、2013年度の売上高は2950億元(約4兆8700億円)、純利益は104億元(約1,700億円)。

主要株主 持ち分比率
中国聯通(BVI)有限公司 40.9%
中国聯通集団(BVI)有限公司 35.0%
Telefonica Internacional S.A.U 5.0%
その他 19.1%
合計 100.0%

(出所)H株会社の財務報告、2013年12月31日時点の持ち分比率

H株会社の41%の株式を保有している中国聯通(BVI)有限公司は、上海証券取引所に上場しているA株会社が持ち分の約82%(2014年1月時点)を所有し、国有資産監督管理委員会が主管している集団会社が約18%(同)を所有している。中国聯通集団(BVI)有限公司は、集団会社が所有権を100%保有している。

筆頭株主のトップ2企業は、企業名からイギリス領ヴァージン諸島(British Virgin Islands)に登記されている会社と思われる。

イギリス領ヴァージン諸島
イギリス領ヴァージン諸島(British Virgin Islands)に会社登記するメリットは、一般的に次のとおり。(1)会計監査、税務申告が義務づけられていない(2)登記の機密性が高い(3)BVI以外での取引には税金がかからない(4)香港の銀行に口座開設できる。

(了)

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