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第四世代移動通信(4G)とは?中国で展開されている?

中国の携帯電話やスマートフォン(スマホ)のデータ通信は、日本にくらべて通信速度は遅いといわれている。しかし、中国本土でも4Gとよばれる高速な通信規格であるLTEが展開されはじめている。現在の展開状況はどうなっているのか?

1.4Gと呼ばれる高速モバイル通信

4Gとは何か?

携帯電話やスマートフォン(スマホ)を利用していると第四世代移動通信(4G)という言葉を耳にすることがあるが、これは一体どういうものなのか?国際電気連合(International Telecommunication Union、ITU)という団体が規定するIMT-Advancedといわれる規格にマッチする通信方式を4Gという。

ITUが4Gと判断している基準であるIMT-Advancedに厳密に一致する4Gの規格は、LTE-AdvancedとWiMAX2という2つの通信規格だけだ。しかし、一般的には3.9Gとよばれる3G(W-CDMAやCDMA2000など)を発展させたものも4Gと呼んでもよいことになっている。

日本の状況は?

日本では2012年9月からauブランドを展開するKDDIは「au 4G LTE」として3.9Gの高速モバイル通信を運営している。ソフトバンクグループは2012年2月から「softbank 4G LTE」という3.9Gを展開している。

ドコモ(Docomo)は、Xi(クロッシィ)というブランドで2010年12月から展開している。ドコモは当初、Xi(クロッシィ)を「Super 3G」という名称でスタートしたが、これも3.9Gの通信規格。ただ、3社が運営しているのは厳密な定義では4Gではない。

本当の第四世代移動通信(4G)は?
現在の3.9G(通称4G)ではなく本当の4Gは、光ファイバー回線速度に相当する毎秒1GBの高速通信が可能になる。現行3.9Gの10倍程度の通信速度といわれている。日本では2016年以降にサービスがはじまるといわれている。

2.中国はようやくLTE時代に突入

中国も4G時代に!TD-LTEと呼ばれる4G

中国の4Gの展開は日本より大幅に遅れている。中国の通信業界を管轄している工業和信息化部(以下、工信部)は2013年12月、中国移動(チャイナ・モバイル)、中国電信(チャイナ・テレコム)、中国聯通(チャイナ・ユニコム)の3社にTD-LTEとよばれる4Gの通信規格の認可をあたえている。

TD-LTEとは?
TD-LTEは3Gを発展させた通信規格で、3.9Gと呼ばれるLTE(高速な通信規格)である。ただ、国際的には3.9Gという呼称は使われておらず4Gと呼ばれている。ソフトバンクグループが「softbank 4G」として2012年2月に開始した通信規格はTD-LTEである。

日本で一般的なFDD-LTEという4Gもスタート

工信部は2014年6月27日、中国電信と中国聯通にFDD-LTEとよばれる通信規格の試験的な商用展開(16都市のみ)の認可をあたえている。中国の3大通信キャリアは、これから4Gに対応したスマートフォン端末の普及と通信ネットワークの整備を進めている。

日本のFDD-LTE方式
ソフトバンクの「Softbank 4G LTE」、ドコモの「Xi(クロッシィ)」、auの「au 4G LTE」は、すべてFDD-LTE方式。

3.3大通信キャリアの展開状況は?

中国移動(2013年12月18日、4Gスタート)

世界最大の携帯契約数をもつ中国移動は、第三世代(3G)ではTD-SCDMAという通信規格を展開している。中国国内では3大通信キャリアのなかで最もユーザー数を獲得したものの、世界標準となったW-CDMA、CDMA2000に対して、中国が力を入れたTD-SCDMAは、けっきょく国際標準になることはなかった。

中国移動は4GではTD-LTEに力を入れており、大規模な試験テストをつづけてきた。中国移動は2012年から香港でTD-LTEを先行して展開し、中国本土にTD-LTEの存在を大きくアピールした。

香港の通信キャリア
香港でモバイル事業を展開しているのは、中国移動、CSL(香港移動通信n)、PCCW、3HKの4社。CSL(香港移動通信)は、中国移動の関係会社ではなく、香港電話有限公司から分離した企業。

中国電信(2014年2月14日、4Gスタート)

中国電信が3Gの通信規格として展開してきたのは、国際標準と言われるCDMA2000という通信規格。中国電信は3大通信キャリアのなかで、もっとも4Gに不利だといわれている。

4Gの通信規格であるTD-LTEに力を入れている中国移動や、現在の3Gの通信規格からFDD-LTEへの転換が技術的に容易だといわれている中国聯通にくらべて、中国電信はTD-LTE、FDD-LTEともに3Gから4Gへの技術転換が難しいといわれている。

中国聯通(2014年3月18日、4Gスタート)

中国聯通が3Gとして採用したのは、国際標準と言われるW-CDMAという通信規格。中国聯通のデータ通信は、W-CDMAを高速化させたHSPA+という通信規格を採用している。HSPA+の基地局は、4Gの通信規格であるFDD-LTEに技術的な転換が容易であるといわれている。

(了)

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