中国の銀行口座、パスポートで身分証の確認しないと凍結?
招商銀行のインターネットバンキングを使ってネット通販の支払いをしようと思ったら・・、銀行口座が突然、使えなくなっていた。凍結されている?銀行からは何も連絡はない。招商銀行のサービスセンターに電話してみると・・。
1.中国の銀行口座が突然使えなくなった
インターネットバンキングができない
中国のネット通販の淘宝(タオバオ)で商品を購入するため、招商銀行のインターネット決済を使って支払いしようとするとエラーが発生。パスワードは間違っていないはずなのに一体どうなっているんだ?
- 招商銀行とは?
- 1987年に設立された招商銀行は、香港に隣接する広東省深セン市に本社を置いている。上海証券取引所に上場している。
招商銀行の銀行口座で問題が発生したら、招商銀行のコールセンターである95555に電話すればいい。携帯電話や固定電話から95555を押すとつながる。中国の多くの銀行はコールセンター用の電話番号を用意していて、中国銀行であれば95566である。
- 中国銀行とは?
- 中国銀行は国有商業銀行トップ5のうちの1つ。北京に本部を置く。1912年に孫文(孫中山)の承認により設立された中国銀行は、1912年から1928年まで中央銀行の役割をになっていた。
2.銀行口座、なぜ使えなくなったのか?
中国の銀行で困ったらコールセンター
招商銀行のコールセンター(95555)に電話して状況を確認してもらうと、オペレーターの女性は「あなたの身分証明に問題があり、すべての銀行口座の機能は凍結されています」と説明する。なぜ銀行口座が凍結されたか聞いても「中国人民銀行の規定により身分証明に問題が発生しています。くわしい理由はわかりません」と説明する。
- 中国人民銀行とは?
- 中国人民銀行は中国の中央銀行で、日本の日本銀行(日銀)に相当する。
招商銀行のオペレーターによると、とにかく銀行の窓口にいって身分証明書、つまりパスポートを確認する必要があるという。銀行口座をどこで開設したかは関係なく、広東省にある深セン支店で開設した銀行口座でも、上海にある招商銀行の窓口で手続きができるという。
中国人民銀行の指導意見の影響
なぜ身分証明が必要になったのか?法律関係を調べてみると、中国人民銀行が公布した銀発[2011]254号という指導意見が影響していることが判明した。
<指導意見の目的>(指導意見から一部抜粋)
2013年12月末までに、銀行業の金融機関は、法律に則って、銀行口座保有者の偽造や身分証明を偽って開設した虚偽口座、偽名口座、匿名口座を整理し、法律にしたがって身分が不明な銀行口座保有者へのサービスを中止すること。<確認すべき対象口座>(指導意見から一部抜粋)
2007年6月30日以降に銀行口座を開設し、銀行口座の開設に使用した身分証明が非居住者の人民元口座。
上記のとおり、2007年6月30日以降に非居住者である外国人が開設した銀行口座(人民元建て)は身分証明書の確認対象になる。今回調べていくなかで、招商銀行のホームページに2014年5月9日付の告知を発見した(招商銀行の告知原文)。
<招商銀行の告知>(関連箇所のみ一部抜粋)
実名制をおこない、預金者の合法的権益を守り、顧客の資金の安全を保障するため、銀発[2011]254号(中国人民銀行公布)の要求にもとづき、招商銀行は2012年1月から身分証明の確認をおこなってきた。(途中省略)
銀行リスクの管理などの要求により、身分証明の確認が終わっていない口座と(身分証明が)不正確な口座について、インターネットバンキングとATMなどの銀行窓口以外の業務を停止する。顧客が窓口以外で銀行口座を利用する場合、身分証明書の原本を当行の営業拠点に持ってきてください。
ご協力に感謝します。ご不便おかけして申し訳ございません。招商銀行
2014年5月9日
2007年6月30日以降に開設した招商銀行の銀行口座で、非居住者(つまり外国人)が開設していて、身分証明の確認が終わっていない銀行口座にたいして、いっせいに使用を停止している。おそらく、中国に招商銀行の口座を残して帰国した日本人の多くは、銀行口座を凍結されていることだろう。
3.銀行の窓口で身分証明を行う
10分くらいで手続き完了!
招商銀行の口座が凍結されてから2週間後、ようやく招商銀行の窓口を訪問。じつは招商銀行以外に中国銀行の口座をもっていたので、急いで手続きする必要はなかった。
窓口で銀行口座が凍結されていることを説明してパスポート(原本)を渡すと、10分くらいで手続き完了。窓口担当者によると、銀行口座の凍結が解除されるには3営業日ほど必要という(5営業日後に確認すると利用できるようになっていた)。
(了)