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中国で大人気の名創優品(メイソウ)、中国のダイソー?

中国ですごい勢いで伸びているメイソウというインテリア・雑貨ショップ。すでに中国国内で350店舗ほど展開しており、2015年末までには1,000店舗に拡大する計画のようだ。「100%日本品質」を打ち出すメイソウとは、どのような企業か?

1.中国のダイソー(大創産業)か?

中国各地で大人気のメイソウとは?

上海でも広州でも見かける大人気のメイソウ(名創優品)という雑貨販売店。カタカナで「メイソウ」と書かれており、販売されている商品のタグには日本語で商品説明がされている。日本国内で「メイソウ」という店舗を見たことがないものの、もしかして100円ショップのダイソー(大創産業)が新しいブランドとして打ち出したものなのだろうか?

(写真1)10元(約200円)の商品を中心に販売、中国で大人気のメイソウ

(写真1)10元(約200円)の商品を中心に販売、中国で大人気のメイソウ

日本品質を打ち出すメイソウとは?

このメイソウはMINISO(英語名)とも呼ばれ、株式会社名創優品産業(本社:東京都中央区銀座)という会社が経営している。このメイソウの公式ホームページを見ても、会社情報がのっていないため確かな情報は分からないものの、2013年9月に広州市(広東省)に1号店を出した新興企業のようだ。

広東省を中心に出店を進め、現在では1ヶ月あたり20~30店舗のペースで新規出店し、すでに350店舗ほど中国で展開していると報道されている。2015年内には1,000店舗まで拡大することを目指しているようだ。中国の報道記事を読んでいると、広州市の財団がメイソウの中国進出を引き寄せたとされている。

(写真2)中国人をひきつけるオシャレな店内、低価格と日本ブランドが魅力

(写真2)中国人をひきつけるオシャレな店内、低価格と日本ブランドが魅力

メイソウの公式ホームページには創設者(創始者)は文化服装学院出身の三宅順也さんと紹介されている。メイソウの首席統括デザイナーでもあるようだ。ただ、インターネットで紹介されている三宅順也さんへの取材によると、メイソウは資本・運営ともに中国のモノと話している。

「100%日本品質」を打ち出しているメイソウに対して、中国メディアも疑問を投げかけている。2014年12月18日付の広州日報(電子版)によると、「名創優品」の商標登録が中国のほうが日本よりも半年早く登録されていることを指摘している。ブランドの実態の真偽は、まさに迷走(メイソウ)している。

葉国富さんが仕掛け人?

中国のメイソウに関する報道を追っていると、2014年12月26日付の南方都市報の記事を読むかぎり、名創優品中国のCEOの葉国富(叶国富)さんがメイソウの仕掛け人のようだ。

1977年生まれの葉国富さん(湖北省出身)は、かなり苦労を続けてきた起業家のようだ。現在では広東省の人民代表大会(地方議会に相当)にも選ばれており、いろいろな協会の役員も兼務している有力者のようだ。

2.すでに中国でけっこう人気のメイソウ

メイソウのターゲットは?

このメイソウのターゲット層は、18歳~35歳の若いホワイトカラー層を対象にしている。販売されている商品の価格帯は10元~100元(約200円~2,000円)。商品の80%以上の「デザイン」は日本、韓国、シンガポール、マレーシア、中国ほかとなっている(出所:2014年8月22日付の21CN財経)。

(写真3)室内用のスリッパ35元(約700円)、タグデザインが無印良品っぽい

(写真3)室内用のスリッパ35元(約700円)、タグデザインが無印良品っぽい

はじめて見たときは日本のショップかと思った

このメイソウは店舗や商品のデザインが日本っぽい。創設者が三宅順也さんという日本人だから当然だろうか?店内に流れているのは日本の流行曲。ただし、売られている商品は中国人好みになっているようにも感じてしまう。

日本の無印良品(MUJI)、ダイソー、フランフラン(Francfranc)の商品を絶妙に中国人向けにカスタマイズし、価格も中国人が割安と思える値段になっている。

(写真4)日本人は買わないようなヌイグルミ、中国人には売れそう

(写真4)日本人は買わないようなヌイグルミ、中国人には売れそう

このクマのヌイグルミは29元(約580円)で販売されている。中国人にとっても割安と感じる絶妙な価格設定になっている。日本の18歳~35歳の女性をターゲットと考えると、このクマのヌイグルミは売れないだろう。しかし、中国の若者女性をターゲットに考えると、売れそうな気がしてしまう。

(写真5)29元のクマのヌイグルミ、タグには日本語の説明がついている

(写真5)29元のクマのヌイグルミ、タグには日本語の説明がついている

3.日本製の定義はむずかしい

洗剤も何となく日本製のように見える

メイソウで販売されている商品は、生活消耗品、日用雑貨とまさに無印良品とダイソーのような存在。販売されている洗剤は、容器のデザイン・カラーと商品陳列の見せ方により何となく良いものに見えてしまう。商品名はもちろん日本語で書かれている。

(写真6)オシャレな洗剤、日本製(?)で品質も大丈夫ということか?

(写真6)オシャレな洗剤、日本製(?)で品質も大丈夫ということか?

じつはメイド・イン・チャイナ(Made in China)

この洗剤の表示はすべて日本語で書かれているものの、なんと「Made in China」となっている。「MINISO JAPAN」や日本のリサイクル表記に類似したものまで印字されているものの、中国で生産されている。

(写真7)日本で販売されているデジカメ、衣服も中国製なので問題ないか

(写真7)日本で販売されているデジカメ、衣服も中国製なので問題ないか

そもそも日本ブランドの定義はむずかしい

日本で販売されている携帯電話やスマートフォン(スマホ)にしても、たとえ日本メーカーが製造していても、海外製造(中国やベトナム製造など)のものは少なくない。日本の日系メーカーが設計・デザインして、海外で製造しているという仕組み。なにを基準にして日本ブランドというのか難しい。

(写真8)ダイソーの100円ショップでも売ってそうな容器入れ(メイソウ)

(写真8)ダイソーの100円ショップでも売ってそうな容器入れ(メイソウ)

商品説明の日本語は少し不自然

メイソウも日本人が少なくともデザインに関わっているのであれば、日本ブランドと言っても良いのかもしれない。ただ、日本ブランドを必死に主張しているものの、商品説明の日本語が不自然なのは改善が必要だろう。やはりネイティブチェックは必要。

(写真9)「スーツ」ではなく容器なので「ケース」だろう

(写真9)「スーツ」ではなく容器なので「ケース」だろう

この「通常外出するスーツ」という容器入れは、おそらく「外出時に便利なケース」という意味だったのだろう。「ケース」と「スーツ」のタイプミスは致命的であるものの、ほとんどの中国人顧客はカタカナが読めないので中国市場で販売するなら問題ないのかもしれない。

「この商品は業務用のグッドクオリティで実用性も高い、商品自体は簡単の特性で生活に役に立ちます。・・・・(省略)」とよく分からない説明になっている。中国人が日本語で文法的に間違ってしまう「簡単の」(正しくは『簡単な』)となってしまっている。

日本でも売れそうな商品も

いろいろケチをつけてきたものの、魅力的な商品も少なくない。中国で生活する日本人もぜひ見学にいってほしい。この39元(約780円)で販売されている「マルチ電動洗顔ブラシ」は日本で流行する可能性もある。

日本で流通している多くの製品は中国製(日本企業の現地生産含む)であり、中国企業はよい商品をつくる技術をすでに持っている。ダイソーも中国企業の商品を低価格で買いつけて、日本で販売している。

(写真10)マルチ電動洗顔ブラシは39元(約780円)

(写真10)マルチ電動洗顔ブラシは39元(約780円)

もちろん中国国内で生産されている

そもそもメイソウで販売されている商品は、ほとんど中国生産(Made in China)。ほとんどというよりも、手にとって見た商品はすべて中国製造だった。

(写真11)広東省で製造されている「マルチ電動洗顔ブラシ」

(写真11)広東省で製造されている「マルチ電動洗顔ブラシ」

まだ2013年9月にスタートしたばかりのメイソウ。すでに広州や深センでは大人気になっていて、メイソウの商品バックを持った消費者をよく目にする。もしかすると、1年~3年くらいかけて市場シェアを高めながら商品デザインの日本化を高めていく戦略かもしれない。

しかし、メイソウのロゴマークはUNIQLO(ユニクロ)や無印良品に似ていると思うのは気のせいだろうか。赤地のベースに白い文字のロゴマークは、消費者向けの定番のロゴデザインということだろうか。(了)

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