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中国の4年制の大学本科と大専、学生数はどちらが多い?

中国の大学生というと4年制の大学本科だけではない。日本人のあいだで短期大学とも呼ばれている大学専科(大専)という分類の大学もある。中国の大学生のなかで、大学本科と大専はどのくらいの割合なのだろうか?

1.中国の大学本科と大専、何が違うのか?

就学期間が違う

中国の大学レベルの教育には、大きく大学本科と大学専科(以下、大専)に分かれている。大学本科はまさに日本人が大学としてイメージしている4年制の大学で。大専は高等職業学校(高職)と4年制大学に設置されている専科(高専)の2つに分かれている。大専の学習期間は主に3年間。

大学本科と大専はどのような点で異なるのだろうか?まず卒業後に履歴書に記載できる学歴の名称がことなる。大学本科を卒業すると、大学本科卒となるが、大専の場合は大専卒となる。日本人の中では、大専は日本の短期大学に相当すると言われており、高卒と大学卒の間のような位置づけと言っても良いかもしれない。

そのため、すでに大専を卒業した中国人のなかには、大学本科卒の学歴を得るために、さらに大学本科への編入や通信教育により、大学本科卒の学歴を目指す人も少なくない。

大専は学位がない

もう一つ大きな違いは、大学本科は基本的に学士の学位を取得できるが、大専は学位を得ることができない。ちなみに、中国では大学本科の卒業証書と学士学位証は分かれている。

大学の求める基準に満たなかったり、在学中のカンニングなどの違反行為により学士学位が取得できない大学本科卒もいる。教育部(文部科学省に相当)の統計によると、2012年の卒業生のうち約2%が学士学位を取得できていない。

学位とは?
学位とは、一定の教育課程を修了した者に授与する称号。日本では、学校教育法にもとづき、大学または独立行政法人の大学評価・学位授与機構が授与している。日本には博士、修士、学士、短期大学士などがある。

2.けっこう多い、中国の大専の学校数と学生数

中国の大学の半分以上は大専!

中国の大学本科と大専の学校総数を見てみると、実は大専のほうが4年制大学の数よりも多い。2012年末の教育部のデータによると、4年制大学である大学本科の教育課程をおこなっている大学は1,145校に対して、大学専科を設置している学校(含む高等職業学校)は1,297校ある。

 

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在学中の学生数で見ると、就学期間が4年制大学のほうが通常は長いこともあり、大学本科のほうが在学生は多い。2012年末時点で大学本科は1,427万人、大専は964万人が在学している。

中国では公営大学が多い

中国は公営の学校が多く、4年制大学と大専は合計1,736校ある。民営の706校を大きく上回っている。大学本科と大専をあわせた公営大学の学生数は1,858万人に対して、民営の学校の学生数は533万人である。全体の約78%の学生は、公営の大学に通っている。

3.いわゆる大学卒業生の半分は大専卒

こんなに多い中国の大専卒

教育部の統計データによると、大学本科と大専をあわせた2012年の卒業生は625万人。そのうち、4年制大学である大学本科の卒業生は304万人で、卒業生の半分以上は大専が占めている。

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日本のメディアが大学生と指しているとき、大専を含めてた数字であるので留意が必要だ。大専のなかには手に職をつけることを重視した高等職業学校(高職)もあり、理論面を重視した大学本科とは位置づけがことなる。

中国の大卒就職内定率35%に低下 13年春、ミスマッチなど響く(2013年6月12日付、日本経済新聞電子版)

中国では大学などへの進学者が急拡大。今年の卒業生は約700万人に増える見込みだ。だが中国の労働集約型の経済構造は変わっておらず、国内総生産(GDP)に占める3次産業の割合は10年間で3ポイントしか上昇していない。大学生が希望する仕事はもともと少なく、最近の景気減速で求人数がさらに減少した。(了)

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