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中国上海市の高校進学、どのくらいの進学率なのか?

中国の高校進学率はどのくらいだろうか?日本の高校進学率(定時制学校など含む)は98%(2010年)と高い進学率となっている。中国のなかでも経済発展が進んだ上海では、意外にも96%以上の高校進学率になっている。

1.上海の高い高校進学率

96%以上が高等学校に進学

上海市の高校進学率は96%以上に達している。上海市の義務教育が終了したあとの試験を担当している上海市教育考試院によると、2014年の上海市の高中段階の学校の受験者数は76,690人。

そのうち、96.92%の74,330人が高中段階の学校から内定を得ている。中国の高中段階の学校は日本の高等学校に相当する。

中国の高中段階の学校とは?
中国の高中段階の学校は、普通高級中学(高中)や中専とよばれる職業高級中学(職高)や中等専業学校(中専)、技工学校(技校)をさす。中専の学生は三校生ともよばれる。中専は日本の工業高校や産業高校などの専門高等学校に相当する。

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2014年の上海市の中考は例年どおり、提前招生(推薦募集)と統一招生(一般募集)の2段階にわけて行われている。中考の受験の申込みはインターネットでおこなわれている。

中国の中考とは?
中考は高中段階の学校(日本の高校に相当)に進学するための入学試験。毎年6月に実施されている。中考は通称で正式な名称は各地域でことなる。北京市は北京市高級中等学校考試、上海市は初中卒業統一学業考試が正式名称。

推薦入学である提前招生として受験申込みしたのは16,060人(全体の21%)で、そのうち進学校である示範性高中からは7,616人が内定している。中専とよばれる学校からは8,444人が内定を得ている。国際コースは874人が内定を得ている。

統一招生(一般募集)の受験により57,396人が高中段階の学校から内定を得ている。そのうち、43,532人は普通高中、13,864人は中専から内定。中国の高校入試である中考は複数の学校を同時に受験でき、募集定員数に足りない学校は再募集もおこなっている。

2.中国人は高学歴をめざす

深まる労働市場とのギャップ

中国の教育部(文部科学省に相当)は、普通高中の進学率を下げて、技術を習得するための中専の進学率をあげることを進めている。教育部は現在、普通高中と中専の進学割合を50%ずつになるよう目指している。

どうして教育部は普通高中と中専の進学割合をおおよそ半々になることを目指しているのだろうか?この背景は中国の労働市場がもとめる以上に、高学歴な仕事をもとめる大学卒業生が増えすぎているからだ。

中国の大学進学率は1999年から大きく増えはじめ、現在では大学本科や大学専科の卒業生が増えすぎたといわれている。大学卒業生がもとめる仕事にマッチした就職先を用意できていない状況が続いている。ここ数年の労働市場では熟練した技術者が足りていない。いっぽうで、デスクワークを望む大学卒業生の就職難が叫ばれている。

中国の大学生増加政策とは?
中国は1999年に大学進学率を向上させる政策を打ち出した。背景として経済水準が同じ他国より大学進学率が低いという状況があった。一部には、国有企業改革で経済が失速し、大学生増加による生活品需要増などの超短期的な消費刺激策を当時は意図していたとも言われている。

このギャップを解消するために、教育部は高校生になる段階でギャップの源(みなもと)を調整しようとしている。普通高中は大学入学を目指しており、中専の学校は卒業したあとは働くことを前提に実務的な技術や能力の習得を目指している。

上海市では普通高中への進学率がたかい

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すぐには調整できない普通高中と中専の進学先のバランス。2014年の上海市の高中段階の進学状況をみると、教育部の指針に反して普通高中に進学する割合は70%となっている。(了)

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