上海市で住宅積立金の住宅ローンを借りるための条件は?
中国人はどのように分譲マンションを購入しているのでしょうか。ひと昔まえは中国では現金でマンションを購入すると聞いたこともありましたが、今では住宅ローンが活用されています。そのひとつの住宅積立金ローンを紹介します。
1.中国の住宅積立金という制度
住宅積立金とは何か?
中国には住宅積立金制度というものがあります。企業や政府機関などで働いている人は、雇用者側と個人がそれそれ住宅積立金を毎月積みたてることになっています。
上海市にある企業では2014年、企業側7%と個人7%の合計14%を毎月積み立てています。この住宅積立金制度に加入していて、一定の条件を満たしていると、銀行よりも低い金利で住宅ローンを借りることができます。これが住宅積立金を活用した住宅ローンです。
この住宅積立金を利用した住宅ローンは、なんといっても中国銀行や中国建設銀行などの商業銀行とよばれる銀行による住宅ローンよりも金利が2%ほど低いのが特長です。
日本の財形住宅貯蓄のようなモノ
中国の住宅積立金制度は、日本でいうと企業がおこなっている財形住宅貯蓄に該当すると言えるかもしれません。日本の財形住宅貯蓄であれば、この貯蓄から発生する利息は550万円までは非課税(税金が発生しない)になります。
企業によっては財形住宅貯蓄の積立額にたいして、10%程度の奨励金(補助金)を出している企業もあります。550万円まで非課税になっているところから、国の政策的な持ち家取得のための仕組みと言えるでしょう。
2.住宅積立金をつかった住宅ローン
どのような人が借りることができる?
上海市ではどのような人が住宅積立金による住宅ローンを借りることができるでしょうか。上海市積立金管理センターによると、住宅積立金から住宅ローンを借りるためには、つぎの3つの条件をみたす必要があります。
- 上海市に住宅を所有する権利をもっている人。
- 住宅積立金の住宅ローンを借りるまえに、連続して6ヶ月以上のあいだ住宅積立金を積みたてている人。
- これまで住宅積立金を借りたことがない人。
いくらまで借りることができる?
住宅積立金の住宅ローンは、希望借入額まで借りれるわけではありません。上海市積立金管理センターによると、上海市の住宅積立金による住宅ローンでは大きく4つの計算方法で借入限度額を設定しています。この4つの方法でもっとも少ない金額が借入可能限度額になります。
- これまで積みたててきた住宅積立金の残高の40倍を超えない金額。1万元の残高であれば40倍の40万元と計算されます。
- 購入する住宅価格に対する頭金をのぞいた金額。頭金30%の100万元の住宅を購入する場合は70万元と計算されます。
- 返済能力から算出される借入限度額。平均給与✕50%(規定されている比率)✕12ヶ月✕借入期間によって計算されます。
- 住宅積立金により借入限度額。つぎの一覧表により定められています。
中国で住宅積立金をつかって住宅ローンを組むとき、複数の人で住宅ローンを借りると借入限度額が大きく増える仕組みになっています。上海市では現在のところ、最高80万元(約1,320万円)まで借りることができます。もちろん、ほかの計算方法による限度額が80万元よりも少なくなれば、その低いほうが限度額になります。
住宅ローンの金利は?
住宅積立金による住宅ローンの金利は、借入期間が5年未満の場合は年利4.0%、5年以上は年利4.5%となっています。商業銀行で住宅ローンを借りると、中国人民銀行が定めている基準金利である年利6.55%(5年以上)前後になります。銀行の金利とくらべると、住宅積立金の年利は2%も低くなります。
- 中国人民銀行とは?
- 中国人民銀行は中国の中央銀行(紙幣の発行など)。1948年12月に華北銀行、北海銀行、西北農民銀行が合併して河北省石家庄に設立。1949 年2月に北京に移転。1984年に中央銀行の業務のみ従事するため、中央銀行の業務以外を新たに設立された中国工商銀行に移管。
借入期間は?
住宅積立金による住宅ローンの借入期間は、新築物件は最長30年、中古物件は最長15年となっています。また、法定退職年齢の5年前までに住宅ローンを返済しなければなりません。
- 中国の法定退職年齢とは?
- 中国の法定退職年齢は、幹部(大学卒に相当)は男性60歳、女性55歳。幹部以外は男性60歳、女性50歳となっています。障害などで労働能力を失った場合は、男性50歳、女性45歳で退職することが可能です。
中国人にとって住宅積立金ローンは、マイホーム取得のための大切な政策のひとつです。(了)