上海のタクシー乗車時に発生、「電調費」と「燃油附加費」とは?
中国に長期滞在している日本人のなかで、滞在地のタクシーに乗車したことがない人はあまりいないでしょう。中国では日本よりも日常的にタクシーが利用されています。このタクシーの領収書を見ると、見知らぬ費用が目に入ってきました。
1.上海のタクシー
サービスレベルの高い上海市のタクシー運転手!
中国のなかでも地下鉄や公共バスが発達している上海では、それほどタクシーの乗車する必要がないものの、急いでいるときには、やはりタクシーは便利です。中国のなかでも上海市のタクシー運転手は、言葉遣い、顧客対応、運転方法などサービス精神にあふれると言われています。まずタバコを吸いながら運転するようなタクシー運転手は見かけません。
2.上海のタクシーの「電調費」
いままで知らなかったタクシーの「電調費」とは?
ひさしぶりに用事でタクシーに乗車したところ、見知らぬ「含電調費4元」という領収書(税務発票)の文字に目がいきました。この「電調費(ディエン・ディアオ・フェイ)」とは、いったいどのような費用なのでしょうか?
この「電調費」とは、タクシーの電話予約サービス料金のことです。いわゆる日本の迎車料金(配車料金)です。上海市の大手タクシー会社では同額の4元(約80円)となっています。1990年初期からはじまった電話予約サービス料金は当初は2元(約40円)でスタートし、1995年1月に4元に改定されました。しかしながら、あまり電話予約は利用されず、けっきょく電話予約サービス料金という仕組みは取り消されることになりました。
2006年6月に大衆タクシー(上海市)が電話予約サービスのコスト回収のために費用徴収を再開しました。上海市内のほかの大手タクシー会社(強生、海博、錦江など)も同様の動きとなり、現在では電話予約サービス料金は4元で統一されています。もし、電話予約してから5分以上タクシーの到着が遅れた場合は、タクシー会社から利用者に20元(約400円)程度の補償が行われます。
今回はなぜ徴収された?
この上海市のタクシーに導入されている電話予約サービス料金は理解できたものの、今回はなぜ徴収されたのでしょうか?上海浦東国際空港から予約なしにタクシーに乗車し、空港近くの倉庫に配送物を取りにいきました。タクシーには倉庫ですこし待ってもらい、倉庫から荷物を受け取って空港に戻ってくるというタクシー利用でした。この全行程でだいたい30分程度(待ち時間は11分)の利用です。
今回は電話予約サービス料金はかからない利用方法でしたが、タクシー運転手が勝手に乗車料金に「電調費」をの上乗せして徴収しています。中国に慣れていない日本人もこっそりと「電調費」を加算されている可能性もありますので注意が必要です。タクシーの領収書(税務発票)を受け取っても、通常は総額に違和感がないかを確認し、具体的な中身を確認する日本人はほとんどいないでしょう。
3.中国の「燃油附加費」
タクシー版の燃油サーチャージ「燃油附加費」!
上海のタクシー料金は、初乗り14元(約280円)です。この初乗り料金の14元のなかには、タクシー版の燃油サーチャージである「燃油附加費」1元が含まれています。実際のところは初乗り料金13元と「燃油附加費」1元を合計した実質初乗り14元という計算になります。
中国のほかの都市では「燃油附加費」は別途加算されるケースも少なくありませんので、上海のタクシー料金は顧客に総額表示で分かりやすい制度運営になっています。
上海市内のタクシー料金
上海市のタクシー料金のうち、初乗り料金分で3kmまで走行できます。この初乗り料金分の3kmを超えると、毎1kmごとに2.4元(約48円)が加算される仕組みになっています。たとえば、10km乗車すると初乗り料金14元と加算料金16.8元(超過走行距離7km✕2.4元/km)を合計した30.8元(約620円)になります。
もうひとつ注意しておきたいのは、走行距離が10km(含む初乗り分の3km)を超えると遠距離料金に変更されます。走行距離が10kmを超えてから1kmごとに3.6元(約72円)の計算で運賃が発生するようになります。つまり、走行距離が10kmを超えると、運賃計算は1.5倍で増えていきます。
上海では朝5時~夜23時までは初乗り料金14元(含む1元の燃油附加費)です。夜23時~朝5時までの夜間・早朝は初乗り料金は18元(30%増し)になります。この夜間・早朝時は走行距離に応じて加算される運賃も3.1元(10kmまで)、4.7元(10km以上)と通常時の30%増しになります。夜間・早朝時は初乗り料金も含めて、通常時の1.3倍と覚えておくとよいでしょう。
中国主要都市の初乗り料金は?
ちなみに、ほかの中国の主要都市のタクシー料金(含む燃油附加費)は、北京市14元(含む燃油附加費1元)、天津市9元(同1元)、広州市10元(同0元)、深セン市(旧特区内)13元(同3元)、深セン市(旧特区外)9元(同3元)。燃油附加費は原油相場の変動によって各都市の基準で変動します。
広東省の深セン市は経済特区内と特区外で区別されていますが、2010年7月から市内全域が経済特区に指定されています。現在の深セン市には経済特区外という地域は存在しません。(了)