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中国の土地制度がわかりにくい、農村集体所有とは何か?

中国の土地制度がわかりにく。中国には国家が所有する土地と農村が集団所有する土地の主に2つにわけられる。ときどき、農民が地方政府による農地の収用についてモメているニュースがあるが、その背景になっている農地の仕組みは何か?

1.中国の農村集団所有の土地とは?

転売が限定されている農地

なぜ中国の農村集体所有の土地使用権は転売することができないのか?これは1998年に制定された「土地管理法」によって、農村集体所有の土地使用権の転売が制限されているからだ。この農村集体所有の土地使用権転売が制限されているために、この土地の価値はきわめて低くなっている。

転売する方法はない?

中国の農村集体所有の土地使用権を転売する方法はないのだろうか?一つだけ方法は用意されている。地方政府による土地の買い取りに該当する収用(征地)という方法である。

この土地の収用(征地)の手続きをおこなうと、その土地は農村集体所有から国家が所有する土地に変更される。しかし、この土地の収用(征地)では農民は価値が増加した土地の経済的恩恵を受けることができない。

農民は土地を収用されることにより、もともとの使用用途である農地としての価値に対して補償をうける。あくまでも農地という使用用途に対する補償であり、その補償額は大きくない。農村集体所有の土地使用権を持っている農民にとって土地使用権の価値上昇は無関係である。

2.土地使用権の収用に拒否できるのか?

農民は収用に反対できない!

農民は農村集体所有の土地使用権の収用に反対することは可能なのだろうか?農民は反対することはできない。もともと農村集体所有の土地はもともと農民のものではなく、農作するための使用権を与えられたもの。

より良い使用方法がある場合、国家は使用権に対する補償を行うことで収用することができる。つまり農村集体所有とは、農民が農作するために使用権を所有しているという意味である。

3.中国の農地の歴史は?

人民公社の失敗

1956年にはじまった中国の人民公社。当時の国家の政策により、人民公社という単位に農地を集約するようになった。農民は人民公社の職員として労働する。まさに国家から土地を借りて農作をおこなう原点となっている。ただし、サラリーマンとなってしまった農民にとっては農作に対するモチベーションが上がらず、収穫量が上がらないという悲惨な結果になってしまった。

1978年の改革開放政策の成功

改革開放政策の1978年にはじまった家庭聯産承包は、各農家による農地請負である。請け負った農地を耕し、予定以上に生産できたものは各農家に残せるようになった。1984年ごろには農作物の売却難が起こった。

中国の改革開放政策とは?
中国の改革開放政策は、1978年12月の中国共産党第11回中央委員会第三次全体会議(第11回三中全会)で決定された経済政策。農業では農地請負による市場経済化で成功。対外開放政策では、深セン、珠海、厦門、スワトウを経済特区として外資企業に開放した。

この農地請負が成功し、もともとは農地請負制度は30年は変更しないことになり、長期間は変更しないと変更され、永遠に変更しないと変化してきた。ただし、期間にかかわらず農村の農地は請負という制度である。農民がもっているのは請負経営権(承包経営権)である。(了)

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