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中国の実店舗で利用できる電子決済、支付宝と微信支付とは?

中国のファミリーマートやローソンの店頭では、電子決済サービスである支付宝や微信支付の専用アプリで簡単に支払いができるようになった。中国のIT企業大手2社が電子決済サービスの分野で激しい市場シェア争いを繰り広げている。

1.中国の実店舗での電子決済サービス

支付宝(アリペイ)と微信支付、スタンダード争い!

中国では支付宝(アリペイ)と微信支付という2つの電子決済サービスのはげしい市場争いが繰り広げられている。支付宝(アリペイ)は、インターネットショッピングモールの淘宝網(タオバオ)を運営する阿里巴巴(アリババ)集団が提供している電子決済サービス。

いっぽう、微信支付は中国版LINE(ライン)と言われるチャットアプリの微信(WeChat)を運営している騰訊控股(テンセント)が提供している電子決済サービスだ。微信(WeChat)は、中国国内で圧倒的な市場シェアで、スマートフォンを持っている人なら誰でも利用しているチャットアプリ。

中国のインターネット上の電子決済に限ると、支付宝(アリペイ)はインターネットバンキング以外の電子決済サービスで圧倒的に有利なポジションを確立している。ところが、2015年に入ると実店舗での電子決済サービスに両社が乗り出し、その分野で支付宝(アリペイ)と微信支付は中国国内の電子決済サービスのスタンダード化をめざして、はげしい利用者獲得争いを繰り広げている状況だ。

(写真1)中国のマクドナルドでは微信支付が利用できる(上海市)

(写真1)中国のマクドナルドでは微信支付が利用できる(上海市)

中国では非接触型ICカードの利用範囲が広がっていない!

支付宝(アリペイ)と微信支付は、実店舗で支払うときは、スマートフォンに専用アプリをインストールして利用する仕組み。そもそも電子決済サービスは、電子マネーともよばれている。電子決済サービス(電子マネー)は、情報技術や機器を介して電子データで貨幣の役割をおこなう仕組みだ。

電子決済サービスには、オンライン方式、オフライン方式、仮想通貨方式の大きく3つの仕組みがある。中国で利用が広がっている支付宝(アリペイ)と微信支付はオンライン方式に該当し、日本ですでに一般的に利用されているSUICA(スイカ)やICOCA(イコカ)などの交通系非接触型ICカードはオフライン方式に当てはまる。仮想通貨方式はビットコインが代表格だ。

中国にも地下鉄や公共バスで利用できる非接触型ICカードが流通しているものの、交通機関以外での利用拡充は進んでいない。さらに交通機関であっても地域限定でしか利用できないケースが多い。これらが中国国内で非接触型ICカード(オフライン方式)の電子決済サービスが広がっていない理由のひとつ。

微信支付が支付宝(アリペイ)を追いかける格好!

いっぽうで、阿里巴巴(アリババ)集団が提供する支付宝(アリペイ)は、自社のインターネット通販サイト以外でも利用可能だ。支付宝(アリペイ)はインターネット上の標準的な決済手段のひとつになっており、すでに支付宝の利用登録者は3億人を超えている。

騰訊控股(テンセント)が運営しているチャットアプリの微信(WeChat)は、約5.5億人に利用されている。阿里巴巴(アリババ)集団と騰訊控股(テンセント)は、すでに中国で浸透している自社の専用アプリを活用して、実店舗での電子決済サービスの市場シェア争いを行っているというわけだ。

2.どちらの電子決済サービスが使いやすいか?

いまのところ大きな違いはない!過熱しそうな市場シェア争い!

支付宝(アリペイ)と微信支付のどちらが利用しやすいのだろうか?現在どちらも利用しているものの、この2つの電子決済サービスに大きな違いは見られない。支払い時にスマートフォンの専用アプリを立ち上げ、実店舗でQRコードを読み込んでもらうと支払い完了だ。支付宝(アリペイ)と微信支付ともに、銀行口座に連携させているので、リアルタイムに銀行口座の支払処理が行われる。

最近では支付宝(アリペイ)と微信支付の市場シェア争いが過熱しており、はじめての利用者には割引サービスを提供したり、特定の曜日や期間には利用者割引を実施するお店も増えている。上海市内にあるファミリーマートやローソンでは、支付宝(アリペイ)と微信支付ともに利用できる環境になっている。

(写真2)大手スーパーのカルフールとキャンペーンを行う支付宝(アリペイ)

(写真2)大手スーパーのカルフールとキャンペーンを行う支付宝(アリペイ)

支付宝(アリペイ)とは?
支付宝(アリペイ)とは、阿里巴巴(アリババ)集団が展開している電子決済サービス。2004年からサービス開始。インターネット上で決済できるだけでなく、ファミリーマートや大手スーパーのカルフールなどの実店舗での利用も進んでいる。利用登録者は3億人超で、実際のアクティブユーザー数は2.7億人と公表されている。

電子チケットとして活用される電子決済サービスの仕組み!

支付宝(アリペイ)や微信支付は、単なる電子決済サービスではない。最近ではイベント時の電子チケットを発行する機能も兼ねている。現物チケットを入手しなくても、支付宝(アリペイ)や微信支付が電子チケットを発行してくれて、会場ではQRコードを読み込んでもらえばよいケースも出てきている。

(写真3)大型アニメイベント「ChinaJoy」、支付宝の電子チケットが利用された

(写真3)大型アニメイベント「ChinaJoy」、支付宝の電子チケットが利用された

これまで中国では実店舗では現金支払い以外では、中国銀聯の機能の付いたキャッシュカードを利用するしかなかった。このキャッシュカード(銀聯機能付き)を利用するときは、基本的に暗証番号の入力がひと手間になっていた。

銀聯カード(Union Pay)
銀聯カード(Union Pay)は、中国の大手銀行が共同出資した中国銀聯(上海市)が運営している。発行枚数は50億枚以上。日本国内は約40万店で利用できる。銀行キャッシュカードやクレジットカードに銀聯の決済機能が追加されていることが一般的。銀聯のカード番号は頭二桁が「62」からはじまる。

支付宝(アリペイ)や微信支付で支払う場合は、自分のスマートフォンの専用アプリを立ち上げ、支払い時にQRコードを読み込んでもらうだけ。キャッシュカードよりもストレスがないことを実感できるはずだ。この市場シェア争いどちらが勝つかわからないものの、ユーザーとしてはどちらも継続して利用できる状況であってほしい。(了)

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