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中国で販売されている住宅、商品房、経済適用房、限価房

日本には分譲型公団住宅とよばれる政府の住宅政策によって生まれた分譲マンションがあります。中国にも普通の分譲マンション(区分所有建物)である商品房だけでなく、いろいろな政策的な意図がある住宅が販売されています。

1.中国で販売されている分譲マンション

いろいろな種類の分譲マンション

中国では商品房とよばれる普通住宅販売(分譲マンションほか)が一般的ですが、じつは商品房以外にも販売されている住宅があります。日本でも中所得層向けのサラリーマンが住宅を取得するために、昔は分譲型の公団住宅が販売されていました。中国でも日本の分譲型公団住宅に相当する販売住宅があります。

中国の都市部で大部分を占めているのは商品房(普通住宅)です。この商品房以外に、経済適用房(または平価房)、限価房(または限地房)とよばれる住宅が販売されています。また回遷房よばれる住宅もあります。これらはどのような違いがあるのでしょうか?

(写真1)中国のマンション、地震の多い日本よりも高層化している(上海市)

(写真1)中国のマンション、地震の多い日本よりも高層化している(上海市)

 

2.商品房以外の分譲マンション

中国の経済適用房とは?

中国では低所得者向けに販売されている経済適用房(または平価房)とよばれる分譲住宅があります。これは中国の社会保障政策のひとつで、保障性住宅とも呼ばれています。

この経済適用房はできるだけ建設コストを抑え、販売価格に含まれる利益率は3%を超えないように「経済適用住房管理弁法」(2007年11月施行)で決められています。この経済適用房を建設する開発業者は入札で決められています。

経済適用房と商品房(普通住宅)は具体的にどのように違うのでしょうか?まず経済適用房は部屋の広さは建築面積60㎡前後と法律で決められています。また、経済適用房を購入するには収入制限がありますので、高所得者の人は経済適用房を購入することはできません。

中国の建築面積
建築面積とは、実際に利用できる部屋の面積に敷地内の共有スペース(配電室、共有廊下、エレベーターホールなど)の分配された面積です。中国の高層マンションでは建築面積の70%~80%が使用面積(部屋の面積)といわれています。

経済適用房は不動産登記証はあるものの、一般市場での売買も制限されています。経済適用房を取得して、不動産相場が高騰してから売却して利益をあげることは難しいようです。

限価房とは?

限価房(price-limit housing)とはどのような分譲マンションでしょうか?この限価房も低所得者・中所得者向けの分譲マンションです。中国政府の住宅政策としても利用される住宅で、政府機関が販売価格を決定しています。そのため政策制住宅とも呼ばれます。

不動産開発会社は勝手に限価房の販売価格を決めることができません。そのため、販売価格が制限された分譲マンションという意味で、限価房とよばれています。この限価房は社会保障を目的とした経済適用房よりも高く設定されていますが、普通住宅である商品房よりも20%~25%ほど価格は低く設定されることが一般的です。販売価格だけでなく、間取り(広さ)にも制限がありますので、両限商品住房とよばれることもあります。

この限価房の購入資格は、各地方政府によって決められています。通常はその土地に戸籍(本籍)を持っていたり、社会保険を何年以上支払っている人など購入の条件がつけられています。転売については購入してから5年以内は売却できないなど制限がつけられているのが一般的です。福建省のアモイ市の場合は購入してから8年間は転売できないと決められています。

回遷房とは?

さらに回遷房とよばれる住宅もあります。じつは回遷房は、ほとんど商品房と変わりません。不動産開発会社が分譲マンションを建設するまえに建設用地が必要になります。中国では都市開発の過程で昔から住んでいた住民に立ち退き(中国語では征地や動遷とよばれる)させます。

この立ち退きにあった人たちは、補償金としてお金を受け取る場合もあれば、回遷房として商品房が割り当てられることもあります。立ち退きした住民が現物として手に入れた商品房が回遷房です。

ただ、大きな住宅群(住宅小区)が建設された場合、一般販売される商品房に対して、明らかに回遷房用の住宅建物は品質や設備は劣っていると言われています。回遷房の品質が良くないという点はあるものの、商品房と同じように市場で売却することも可能です。(了)

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