中国の分譲住宅、どのような不動産登記証があるのか?
日本で分譲住宅を購入すると、法務局で土地と建物の不動産登記を行います。日本では登記簿謄本(登記事項証明書)により、不動産の登記内容を確認することができますが、中国の不動産登記はどのような仕組みになっているのでしょうか?
1.中国の不動産登記証
どこで手続きする?
中国の分譲マンションを購入したら、不動産を管理する政府機関で不動産関連の権利証の手続きを行います。中古マンションの場合は、権利証などを自分名義に変更をする必要があります。
上海市では上海市住房保障和房屋管理局が不動産登記などを主管していて、具体的な手続きは各地区にある房地産交易中心(不動産取引センター)で行うことになっています。
どのような不動産登記証があるのか?
中国の不動産登記証は、一般的に房地産権証、房地産共有権証、房地産他項権証の3つの権利書のことを指します。地域によっては、房屋所有証、房屋共有権証、房屋他項権証と記載されることもありますが、名称が少し異なるだけで同じ効力の権利書です。
房地産権証は分譲マンションを所有する代表者が保有します。所有者が2名以上いる場合には房地産共有権証が所有者の人数分(代表者を除く)だけ発行されます。この房地産権証と房地産共有権証は同じ効力ですので権利証の優劣はありません。
残りの房地産他項権証は、住宅ローンを借りて分譲マンションを購入したため、その分譲マンションに抵当権を設定した場合などに発行されるものです。この房地産他項権証は、住宅ローンの担保として抵当権を設定している銀行などの金融機関が保有します。
- 抵当権とは?
- 抵当権(ていとうけん)とは、借金などの債務の担保を設定して、借金が返済されないときにその担保によって弁済をうける権利。抵当権という担保を設定しても、引き続き利用することができる。中国語では抵押権(ディーヤーチュエン)という。
2.不動産登記証の手続き
手続き方法は?
中国の不動産登記証はどのような手続きにより入手することができるのでしょうか?新築の分譲マンションの具体的なケースは次のとおりです。
- 不動産開発会社は、分譲マンションが竣工(完成)したら、政府の不動産管理部門で初期登記(中国語では初始登記)を行ないます(完成してから3ヶ月以内)。
- 不動産開発会社は、分譲マンションを購入者に引き渡してから60日以内に必要な資料を不動産管理部門に申請する。
- 購入者は、分譲マンションを受け渡されてから90日以内に不動産権利の登記を申請する。
- 購入者は、政府の不動産管理部門の認可が通ってから、20日以内に必要な契税(契約税)や印花税(印紙税)などを納付する。不動産取引手数料や登記費用なども納付する。
- 購入者は、政府の不動産管理部門から房地産権証、房地産共有権証、房地産他項権証を入手する。
いつまでに手続きしなければいけない?
中国では不動産登記について定めた「城市房屋権属登記管理弁法」とよばれる法律があります。この法律の第17条によると、不動産の売買、贈与、相続などで発生した権利関係の変化については、発生日から90日以内に手続きしなければならないと定められています。
不動産登記証の住所名や面積などの変更(変化)については、発生日から30日以内となっています(第18条)。中国では不動産登記証はとても重要です。ニセ物の大家さんが発生することもありますので、中国で賃貸アパートを借りるときも不動産登記証の現物確認は必要です。(了)