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上海初出店のニトリ!日本品質の家具・雑貨が手に入る!

ついに上海市に家具・インテリア販売専門店のニトリが新規出店。これまで日本人が満足できるような家具販売店と言えば中国本土ではイケア(IKEA)くらいだった。信頼できる品質の家具やインテリア雑貨なら、ニトリも新しい選択のひとつ。

1.上海初出店のニトリ

中山公園駅の兆豊広場2階、3階にオープン

家具専門店のニトリホールディングス(以下、ニトリ)は2015年5月、上海市中心部の繁華街のひとつ中山公園に新店舗をオープン。ニトリは武漢市(湖北省)に2店舗をすでに出店しており、今回の中山公園店(上海市)は中国本土で三番目の店舗となった。中国では尼達利(Nidali、ニーダーリ)という店舗名で展開している。

すでに、ニトリは上海市のとなりの蘇州市(江蘇省)に四番目の店舗をオープンしており、中国本土での新規出店を加速している。ニトリは2022年までに中国国内で100店舗を展開する目標をかかげている。ニトリは2007年に台湾、2013年の米国につづく3番目の海外進出先として中国を選んだ。中国本土では自社ブランドで家具から雑貨、インテリア用品まで取り扱うニトリのような専門店はほとんどない。

(写真1)上海初出店となったニトリ中山公園店、日本でおなじみのロゴ

(写真1)上海初出店となったニトリ中山公園店、日本でおなじみのロゴ

ニトリホールディングとは?
ニトリホールディングスは、日本国内に220店舗、台湾に17店舗を展開する家具やインテリア製品を扱う専門店を展開している。本社は北海道札幌市。2014年に中国進出。事業展開にあたってIKEA(イケア)を手本にしていると言われる。2014年の売上高は4,172億円。

中国で存在感のある家具販売専門店はほとんどない!

中国の家具販売店で価格、品質、サービスのすべてを満足できるところはほとんどない状況だ。中国本土ではニトリのような家具専門店ではなく、百貨店のようなビル内に数多くの販売専門店がテナントとして出店する形態が多い。この家具販売店が集まった販売センターは家具城と呼ばれている。中国国内の家具販売専門店で存在感があるのはIKEA(イケア)と英国資本のB&Q(百安居)くらいだ。

ニトリが低価格で高品質の製品を提供できるのであれば、中国での拡大への道はかなり明るいのではないだろうか。1998年から中国で先行して展開しているIKEA(イケア)は、すでに中国本土に18店舗を展開している。これまでは中国で安い家具を購入しようと考えると、阿里巴巴(アリババ)集団が運営している淘宝網(タオバオ)や天猫商城(Tmall)などの流通コストの低いネット通販という方法しかなかった。

実店舗を展開していくニトリは、「大型商品であれば実際の商品を確認して、納得したうえで購入したい」という低価格商品を望むユーザーのニーズを満足できるだろう。

IKEA(イケア)とは?
IKEA(イケア)は、スウェーデンで1943年に発祥した大型の家具販売店。ヨーロッパをはじめ、北米、アジア、オセアニアなどに展開している。日本では、関東、関西、九州に8店舗。中国では北京、上海などの大都市を中心に15店舗を展開している。

2.中国ニトリの店内のようす

日本の店舗と雰囲気は同じ!落ち着いた雰囲気の店内

上海市の中山公園駅の真上にあるニトリの中山公園店。日本人から見るとふつうのニトリの店舗であるが、広々としたスペースでじっくり家具や雑貨を見れる販売店は中国ではあまり見かけない。中国の百貨店形式の家具販売店では、せまい店内に入ると販売員がつきっきりでセールスをしてくる。中国人にとって、落ち着いて家具やインテリア用品を見ることができる店舗は新鮮ではないだろうか。もちろん、その点もIKEA(イケア)が先行して提供しているのは言うまでもない。

(写真2)明るくオシャレなニトリの店内、広々としたスペース

(写真2)明るくオシャレなニトリの店内、広々としたスペース

割安イメージの強い日本とは異なるポジショニング!

ただ、日本のニトリと少し異なるのは販売価格。日本では割安のイメージが強いニトリだが、中国で販売されている価格をみると少し高めだ。ネット通販で販売されている家具よりも1.5倍~2倍ほど高い。もちろん、現物を確認できるメリットや、安心できる品質という点を考慮する必要はあるだろう。中国のIKEA(イケア)よりも若干価格は高いくらいだろうか。

(写真3)3人用ソファー3,990元(約8万円)、2人用は2,990元(約6万円)

(写真3)3人用ソファー3,990元(約8万円)、2人用は2,990元(約6万円)

ライバルはIKEA(イケア)、ターゲット客はおなじ

ニトリとIKEA(イケア)は家具と雑貨のどちらも商品がかぶっている。価格帯もほぼ変わらないため、ターゲットとなるユーザー層は変わらない。上海に住む中国人のあいだでは、割安な家具は「宜家(イケアの中国語)」というイメージを持っている。どのような方法でニトリの認知度を高めていくか、これから注目される。

(写真4)IKEAと同様に寝具(まくら、ふとん)にも力を入れている

(写真4)IKEAと同様に寝具(まくら、ふとん)にも力を入れている

259元(約5,180円)のスーツケースはお得!

ニトリの中型スーツケースを手に取ったところ、ネット通販で購入した中国メーカーのモノよりも車輪(タイヤ)部分の動きがいい。このスーツケースは259元(約5,180円)で販売されており、ネット通販の最多価格の200元~300元(約4,000円~6,000円)の範囲内。中国では低価格のスーツケースが多く販売されているものの、すぐに壊れてしまうもが少なくない。

「ニトリのモノなら品質は大丈夫」という認識が中国人のあいだで広まれば、中国の家具の分野で無印良品やユニクロのような存在になることができるだろう。

(写真5)家具だけでなく豊富な雑貨ラインナップもニトリの特長

(写真5)家具だけでなく豊富な雑貨ラインナップもニトリの特長

ニトリが上海に新規出店した場所は長寧区の繁華街である中山公園。うまくIKEA(イケア)の店舗と距離をとっている計算だ。上海に出店しているIKEA(イケア)は宝山区、徐匯区、浦東新区の3つの地域に店舗出店しているものの、長寧区にはいまのところ出店していない。

ニトリは市内中心部のアクセスしやすい場所にまずは出店し、認知度を高めながら多店舗化を図っていく戦略だろうか。ニトリ中国のホームページには阿里巴巴(アリババ)集団の天猫商城(Tmall)のリンクが張られており、ネット通販にも進出していくと思われる。上海に住む日本人には満足できる家具・雑貨の購入先ができて一安心というところだろうか。(了)

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