上海の賃貸条例「上海市房屋租賃条例」の注意すべき点
中国は賃貸に関することだけではありませんが、法律がたくさんあります。中国で賃貸契約を締結するときには、中国の関連する法律に違反していない契約であることが必要です。さらに中国の一般的な慣習など理解しておくと良いでしょう。
1.中国にはいろいろな法律がある
賃貸マンションに関する法律がいっぱい
中国には中央政府が施行する法律だけでなく、地方政府である省(自治区、直轄市)などが施行する条例まであります。たくさん法律がありすぎて混乱するかもしれませんが、けっこう同じようなことを書いているケースは少なくありません。
中国でアパートを借りるときに注意しなければならない法律には、代表的なモノでは契約法(合同法)、城市房地産管理法、商品房屋租賃管理弁法などがあります。中国でアパートを借りるときに契約書を締結します。その契約書の内容は、これらの法律の条文に反しない内容になっていなければなりません。
上海市が施行している不動産賃貸の法律
上海市で2000年7月から施行されている上海市房屋租賃条例ではどのような内容に注意すべきでしょうか?この条例の基本的な内容は契約法(合同法)や商品房屋租賃管理弁法に規定されていることと大きく異なりませんが、おもなポイントを紹介します。
2.上海市房屋租賃条例で注意すべき4つのポイント
契約書で記載すべきこと(第12条)
上海市房屋租賃条例の第12条において、賃貸契約書に記載すべき主な内容について定めています。とても基本的な事項ですので、契約書に次のことが抜けているとトラブルのもとになりますので注意が必要です。
- 賃貸人と賃借人の氏名と住所
- 賃貸物件の住所、面積、構造、付帯設備の状況
- 賃貸物件の用途
- 賃貸を開始する日
- 賃貸期間
- 家賃の金額と支払い方法
- 賃貸物件が故障や破損した場合の修理費用の負担責任
- 賃貸物件の返却時の状態
- 契約に違反したときの責任
- トラブル発生時の解決方法
- その他
光熱費は賃借人(借り主)が負担すること(第24条)
中国では日本とおなじように電気、水道、ガスなどの光熱費は賃借人(借りている人)が負担することが一般的です。このことを上海市房屋租賃条例の第24条でも明記されています。
中国の古いアパートの場合、大家である賃貸人が電気などのメーターをつけて、独自の単価で料金を徴収するケースがあります。もし光熱費を大家を通して支払うと言われた場合は料金が上乗せされていないか注意が必要です。
中国でシェアハウスに住む場合は、部屋ごとに電気メーターがつけられていることもあります。そのときの計算されている電気料金の単価が一般的な相場と大きくかけ離れていないか注意が必要です。光熱費のなかで、ガス代や水道代は安いのですが、電気代はけっこう高く数百元してしまいます。
日本とおなじように通常の自然劣化は補償不要(第28条)
中国で賃貸マンションを借りる場合、中国でも日本と同じように敷金にあたる保証金(中国語では押金)を支払います。この保証金はだいたい家賃の1ヶ月分が相場ですが、物件オーナーである大家によっては2ヶ月分を要求してくることもあります。通常は退去時に全額返金されます。
上海市房屋租賃条例の第28条では、賃借人(借り主)の故意による破損に対する補償を定めていますが、同時に居住することで発生する自然な劣化にたいしては補償する必要はないと明記しています。日本と同じように故意であるか、自然であるか判断が難しいところですが、退去時にトラブルとなり保証金が減額されることも起こってしまいます。
契約満了時は優先的に継続賃貸することができる(第44条)
中国では1年や半年の単位で賃貸契約を締結することが一般的です。上海市房屋租賃条例の第44条では、すでに賃貸しているひとが優先的に継続して賃貸できると明記しています。
日本でアパートを借りているとき、物件オーナーと直接やり取りをするケースはほとんどありません。通常は不動産管理会社などがあいだに入っています。中国では日本とちがい物件オーナーである大家と直接やり取りをすることが一般的です。
やはり、大家も人間です。大家と良好な関係を保つことで継続賃貸や更新時の家賃の値上げに少なからず影響がでますので注意が必要です。ちなみに、わたしは日本に一時帰国したらお土産を大家さんに持っていっています。日本のスーパーで1000円分くらいお菓子を購入してお渡しします。すごく喜ばれます。(了)